20世紀論争史 現代思想の源泉 / 高橋昌一郎


 20世紀論争史について、教授と助手の対話式で説明している本書です。説明は教授、助手は聞き手。「嫌われる勇気」的なやつです。笑 ぶっちゃけ、これくらい内容が濃いなら、対話形式である必要性がよくわかりません。各章の冒頭で必ずコーヒーを飲むシーンがあり、コーヒー豆についてのうんちくが語られていますが、それを入れたかったのかもしれません。コーヒーに興味がある人は、案外楽しめることでしょう。笑

「宇宙のタイム・スケール」という節が有りました。

 宇宙の年齢は135億6000万年から138億年と見積もられており、これを1年間に当てはめて紹介しています。

 1月1日午前零時ビッグバンが生じたとする。その時点から宇宙は急速に膨張し、無数の原子が衝突や結合を繰り返して、分子化合物が形成される。3月頃に銀河系の基礎、8月頃に太陽系の基礎が形成。地球が誕生するのは、8月下旬。9月に最初の単細胞生物が出現し、11月下旬、多細胞生物に進化。12月18日、陸上に原始植物、海中に魚類が発生、20日、両生類が陸上にも生息できるようになる。24日、恐竜が誕生、25日に哺乳類、27日に鳥類が出現。

 地球の歴史を振り返ると、最も長期的に陸上を支配した生物は恐竜。恐竜時代は1億6000万年も続いた。ヒト属の最初の種ホモ・ハビリスが240万年前、現生人類のホモ・サピエンスがたった25万年前の出現。桁違いに恐竜時代が長かった。ところが12月29日、巨大な彗星あるいは小惑星が地球に衝突し恐竜が絶滅。そのおかげで、哺乳類が安心して進化できるようになった。

 12月31日、午前10時頃に類人猿が誕生。午後9時24分に直立歩行する原人が出現、午後11時54分に、やっと解剖学的に現代人と同じ人類が誕生する。

  11時59分45秒、人類は言語を使えるようになり、文字を印刷できるようになるのが11時59分59秒。つまり、産業革命から現代にいたる人類の進歩は、最後の1秒以内に凝縮される。

 人類の進歩は大晦日の最後のたった1秒。宇宙の時間軸では、人類などヒヨッコに過ぎない。そんな「宇宙のタイムスケール」で、私たちの一生はどれくらいの時間なのか。10分の1秒の計算になる。

 0.1秒を短いと考えるか、それとも貴重と考えるか。如何に自分がこの世に存在し、現在生活出来ていることが「奇跡」なのか。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。

This is the 23th book in January and the 23th in 2024.