ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活 / 國友公司


ドヤ街の「ドヤ」とはなんなのか。

「宿(やど)」を逆から読んだ言葉だという。

普通の宿には満たないようなもの。

そんな「ドヤ」がたくさんはびこる、日雇い労働者が集まる街をそう呼ぶようになった。

国立の筑波大学を卒業したものの、

就職することができなかった著者。

大阪西成区のあいりん地区に足を踏み入れる。

ヤクザ、指名手配犯、博打場、生活保護、薬密売、マイナスイメージで語られることが多い、あいりん地区。

そこに78日間、実際に生活し、西成の住人と共に働き、体験したルポが綴られています。実際に働いてみたからこそ、見える景色というか内部事情。

日雇い仕事の殆どは建設関係。

建設業界に身を置くものとして、とても興味深く読ませて頂きました。

10日間の工事現場でのビル解体作業に従事する。

私は建設業界の人間なので、仕事の内容はそこそこ理解出来ています。初日から重機のアタッチメント(バケットとかブレーカー)交換をさせられたり、高所からガラスが落ちて来る場所で作業したりするなど、少し信じがたい。笑

解体作業で懲りた著者はあいりん地区では「高級ホテル」に属する南海ホテルに従業員として勤務する。しかし、そこは生活保護受給者だらけ。金だけ貰い1日何もせず生活保護の金でギャンブルする。そんな人間たちの世話をするのに嫌気がさす。

著者は西成での体験を本にするという、そんな目的があったからこそ出来る芸当であるとは思うが、これほど大変な思いを体験したことに素直に尊敬できるレベルです。

現在はだいぶ改善されていると言うが、こんな秩序の街が、同じ日本に存在する。そんな事実を垣間見ることが出来るだけでも、本書を読む価値はあるだろう。笑

真面目にお仕事して、足を運ばないで済むようにしたいものです。笑

23 th in October / 283 th in 2023