煙草と悪魔 / 芥川龍之介


悪魔はフランシスコ・ザビエルに仕える修道士に化けて日本に来た。

悪魔は誘惑する相手を見つけることが出来ずヒマだったので、畑をおこして、たばこを植えはじめる。やがて、たばこが花を咲かせた。

日本でたばこの花を見たことがある人はいなかった。

そのため、みんなから「何の花ですか?」と聞かれる。

「この名前だけは、人には教えられない」と、もったいぶる。

ある日、牛商人が畑の前を通りかかる。

悪魔は、「この花の名前をあてることができたら、畑に生えているものを全部あげる」そう誘惑すると、牛商人は、賭けにのってくる。

悪魔は、日本に来て、はじめて誘惑する相手を見つけ高揚したので、牛商人にこう告げる。

「あたらなかったら、あなたの体と魂をもらう」

困り果てた牛商人は、誰に聞いても花の名前がわからない。

牛商人は、奇策を思いつく。

夜中に、牛の尻をひっぱたいて、畑の中に突進させた。

悪魔は、眠い目をこすりながら、家から出てこう叫んだ。

「なぜオレの煙草畑を荒らすのだ!!」

牛商人は、悪魔のどなり声を、心に刻み賭けに勝つ。

そんなお話でございました。

私の感想は、「一休さんのトンチかよっ!」と、

突っ込みたくなるようなオチでございました。笑

しかし、少し深いのは、悪魔は商人の賭けに負けてしまったが、

煙草は日本中に浸透する事になった。

キリスト教が禁じられていた時代も人々は煙草を吸っていた。

賭けに勝った牛商人。

賭けに負けたが煙草を浸透させることが出来た悪魔。

煙草を嗜む人々。

まさに「三方良し」の原点では無いのか。

そんなことを「ふと」思いました。笑

09 th in August / 225 th in 2023