安倍晋三実録 / 岩田明子


 安倍晋三を官房副長官時代から、殺害されるまで番記者として取材を続けてきた著者が、安倍晋三の様々なエピソードを踏まえ実像に迫っています。 第一次政権での失敗を生かし、第二次政権は長期にわたり数々の実績を積み上げた。

 慰安婦問題、拉致問題、靖国参拝、トランプや習近平との外交交渉、天皇の生前退位など、多くの課題も一定の成果を上げたといってもよいだろう。

 政治記者である著者にとって、安倍晋三は取材相手であると同時に「戦友」のようなものであると述べています。本書ではそんな著者の「安倍晋三への愛情」すら伝わって来る印象です。逆説的にいえば、著者は安倍に対し心底、惚れ込んでいるというか、近づきすぎたか故、個人的な感情が多い感じはしますが、その分、メディアでは感じ取ることが出来なかった、人間味あふれる安倍晋三を知ることが出来ました。

 第三次政権も視野に入れていた。高市早苗との関係性。盟友、中川昭一への思い。朴槿恵への同情と共感。金正恩からの手紙。菅、岸田へのアドバイス。森友問題と財務省。麻生に辞める時は一緒。安倍が髪型を変えた理由。

 気になった節について書き留めてみましたが、メディアで感じ取れることの出来なかった安倍晋三についてとても知ることが出来たと同時に、日本の政界にとって大切なキーマンを失った悲しみをとても痛感できる一冊でありました。

This is the 06th book in March and the 51th in 2024.