パパ活の社会学 援助交際、愛人契約と何が違う? / 坂爪真吾


 女性が男性とデートをして、見返りに金銭的な援助を受ける「パパ活」が広がりを見せているらしい。なぜ彼女ら彼らをパパ活に駆り立てているのか。パパ活に関わる数多くの女性・男性へのインタビューを敢行し、年齢や職種、交わされる金額、パパ活が始まるきっかけとなる「交際クラブ」について、生の情報が詳しく綴られています。

 著者はあとがきでこの様に書いています。

 私は交際クラブの世界を「あらゆる制度や規範の縛りから自由になれる、自由恋愛の最果ての地」と評した。しかし、その最果ての地においても、私たちは「男性がお金を払い、女性がその見返りとして時間と身体を提供する」という太古の昔から連綿と続く「性別役割分業」から、なかなか自由になれない。

 あらゆる制度や規範の縛りから自由になったはずの世界でも、私たちは既存の制度や規範、そして自らの性別や性的指向に規定され続ける。1983年の愛人バンクから2018年のパパ活までの35年間を見ても、こうした傾向は何ら変わっていない。

 パパ活の社会学的分析から明らかになることは、「私たちの社会は、そう簡単には変わらない」という退屈極まりない真実である。 実際に社会を変えていくためには、まずこの不都合な真実を受け入れる必要があるだろう。

 女性が金銭や物品と引き換えに男性と関係を持つというシステムは、人類が誕生してから存在するものであり、その現在に代表されるのが「パパ活」という名称であるだけで、これからも形やシステムが変わりながら、存続していくのだろう。そんなことを感じさせてくれる内容でありました。人間って、本当に単純な生き物です(笑)。

09 th in January / 09 th in 2024