人類と気候の10万年史 過去に何が起きたのか、これから何が起こるのか / 中川毅


気候はなぜ変動するのか。気候の変動によって生態系はどのようなインパクトを受けるのか。過去の堆積物や年輪に関する根気強い世界中の研究者の蓄積を踏まえて、自身の研究に関する熱い思いも含めて語られています。

数万年単位で繰り返す地球の公転軌道や自転軸のズレと平均気温の変動、何の前触れもなく隕石や火山の噴火による気候の変動のことを知ってしまうと、ここ何年かで騒がれている「地球温暖化」などはさほど問題ではないかと感じてしまう。

福井県・水月湖に堆積する「年縞」について書かれていました。水月湖は世界の中で一番条件がよく、何万年も前から堆積した地層があり、その時代の出来事を年輪のように1年刻みで記録した地層で、年代測定の世界標準となっているという。

その年縞で明らかになったのは、現代の温暖化を遥かにしのぐ「激変する気候」であり、人類は誕生から20万年、そのほとんどを現代とはまるで似ていない、気候激変の時代を生き延びてきたのだという。

現在のような人間が生活出来る、暖かい状態は地球の歴史からみると、珍しい状態で何万年サイクルで考えると「氷期」と呼ばれる世界中が氷に閉ざされていた状態の方が多いのだという。そんなことを考えると、平均気温が数度上がることなんて、大したことでは無い。そして、CO2が温暖化の要因と世間では騒いでいるけれど「そんなの関係ねぇ〜んじゃね!」と普通に思う。

人間はどんなに悪あがきをしたところで、自然には所詮勝ち目が無いことを、とても考えさせてくれる1冊でありました。

15 th in September / 258 th in 2023