海洋プラスチック 永遠のごみの行方/保坂直紀

大自然の中であろうが、どんな場所でもプラスチックが見えない風景は存在しない。

目に入る風景には、無いとしても、

必ず自分が身につけている。

それくらい人類の生活を豊かにしてくれたプラスチック。

固くもできれば柔らかくも出来る。形も自由自在。

そんな物質が創出されたのは、人類の歴史から見れば一瞬に過ぎない。

地球という惑星は元々、壮大なリサイクル出来る仕組みがあった。

大気、岩石、大地、植物、動物、淡水、海水。

自然物だけであれば、リサイクル出来る。

そこにプラスチックという、化合物を生み出した人類。

便利なものだからこそ、創出したここ100年弱。

人類誕生のスパンから考えれば短い。

しかし大量に製造、大量に廃棄している事実。

自然に出来たものという概念では、原油も自然に出来たもの。

現在は地上の有機物は地上で分解され、地下奥底に入り込むことは無い。

大昔、地上の有機物は分解できないものであり、厄介なものだった。

それが故、地下深くに潜りこみ、長い年月を経て原油になった。

遠い将来、プラスチックも分解できる時代が来るのでは無いかという。

勿論、それはここ何百年で起きるというハナシでは無いと思うが、

実際に現在は、適正に処理されないプラスチックは海洋に行き着いてしまう。

「ミッシングプラスチック」

その大半はどうなっているのか、把握出来ていないのだという。

人間を頂点とする食物連鎖により、

その小さなプラスチックは人間の体内にブーメランの様に戻って来る。

ゴミの投棄が海洋プラスチックを増やす。

そんなイメージがあったがそれだけでは無い。

化学繊維を洗濯すれば、細かいプラスチックは流出する。

太陽光により劣化してボロボロになるプラスチックもあり、

投棄されるゴミだけでは無く、摩擦により海洋に流出されるマイクロプラスチックも、大きい影響があるという。

確かに漁具も経年劣化する。

表面から少しずつ、剥がれていく。

それもマイクロプラスチックが海洋流出している要因だという、

それらはゴミ拾いというそんな前向きのアクションの対象にすらなることは無い。

海岸を掃除しましょうなどというイベントはたくさんあるが、

大きな仕組みを理解すると、

している行動は些細な行動としか思えない。

しかし、それを無駄と思うか、

少しでも貢献出来る行動と思うか。

そんなことを考えさせられる1冊でありました。

​​​​​​2 th in January / 2 th in 2023