未来の地図帳 人口減少日本で各地に起きること / 河合雅司


 人口減少に関する本は、過去に何冊も読んでいます。日本の現在とこれからを語るうえで、必ず出てくるキーワードと言っていいだろう。

 人が少なくなった。子供がいない。学校の存続は出来なくなり廃校になった。自分の地域にだけ起きていることの様に錯覚している人がいるが、実際は日本全国で起きている現象です。

 東京を代表する関東圏に人口が流入する。毎年、関東に流入する人口は地方の市町村を一つ消滅させるくらいの人間が移動している。

 しかし、その東京ですら人口が増えるところもあれば、減って行くところもある。東京そのものが、「人口自然減」のフェーズに突入している事実がある。

 日本全体は「人口減」に向かっている。それは紛れもない事実です。行政の人たちは、よそから流入する人を歓迎するが、それは少ないパイを奪い合ってるにしか過ぎない。そんなことを再確認することが出来ました。

 「 政令指定都市なのに通過都市、仙台パッシングの理由」という章がある。仙台は東北の人口を吸い上げて来た。しかし、吸い上げていた先の県民市民は、この人口減少社会で仙台が衰退していく姿を容易に予想できるので、人が集まらなくなって行く。

 日本全体で見れば「東京」東北であれば「仙台」岩手であれば「盛岡or北上」。分母が減るから移動する分子は減って行く。誰が考えてもわかる話です。

 では移動する気も無い、珍しい分子の自分のような人間はどうすれば良いのか。少ないからこそ、多いことには出来ないことを考えればいい。若い人がいないからこそ、老人にどう接して行けばいいのか考えればいい。

 若い人がいないと嘆く人は多い。それは自分の価値観で自分の印象を昔と比べているだけで、今の現実をどれくらい理解しているのか。これからの社会はどうなって行くのか。そんな現実をとても考えさせてくれる本書でありました。

 違う本で読みましたが、中国には、一人っ子政策(ひとりっこせいさく)というものが存在した。中華人民共和国における産児制限政策で、1979年から2014年まで実施された。

 35年もの間、子供は一人というそんな制約を課せられた。35年も施行しているので、親の世代になっている。一人っ子が当たり前の社会、そして自分に、多子社会が訪れるのは難しい。そんなことが書いてあった。

 中国は人がいっぱいいるからと、何でも解決する様な世論はあるが、これからの人口の減り方は、世界を揺るがすほどの大きい要因になるのかも知れない。笑

 人口減、地方衰退というフェーズは少なくとも、大まかに予想出来るものです。高度成長、そして高齢化社会からの人口減。日本で現在進行中、そしてこれから起こることは、人類がかつて経験したことの無い出来事です。

 過去の歴史を紐解いて、悲観的なことばかり考えるだけではなく、新しいフェーズに突入していく、自分たちはチャレンジャーである。そんな前向きに考えると、天邪鬼かも知れませんが、そんな風に考えないとだめだべさ。そんな本書でありました。笑

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