ソクラテスに聞いてみた / 藤田大雪


 私はソクラテスの唱えた「無知の知」をとても意識しています。文字通り「無知であることを知っていること」が重要であり「自分がいかにわかっていないかを自覚せよ」ということです。「知らないこと」よりも「知らないことを知らないこと」の方が罪深い。「自分がいかにわかっていないかを自覚すること」が、様々な思想をするうえで重要であるという思想です。

 そんな哲学系の本も含め、たくさんの本を読んでいますが、知れば知るほど自分は如何に知らないことが多いのか。そんなことを考えさせる毎日です。

 本書はそんな硬めの哲学を、物語仕立てに、少しユーモラスに学ぶことが出来るので哲学アレルギーの人にはいいかも知れません。笑

 ある日、主人公のFacebookにソクラテスから友達申請がきます。暇だった主人公は相手をしてしまい、ヤリトリをする羽目になります。そして様々とソクラテスからいろんな教えを受けますが、ソクラテスは少し変なオジサンです。笑

 くだらないダジャレを言ったり、奇抜な行動をしたり・・・まさに「夢をかなえるゾウ」のガネーシャのようです。本書では何も触れていませんでしたが、完全に夢をかなえるゾウをパクっている印象は隠せないのは、どちらも読んだ人はきっと感じることでしょう。

 なにかの本で読んだのを思い出した。ソクラテスは思想をたくさん唱えることはあっても、それを書物に残すことはしなかったという。弟子のプラトンが師匠の言葉を書物にしたので後世に語られる様になった。ちなみにプラトンの弟子が、アリストテレスです。

 ソクラテス→プラトン→アリストテレス。wikiによるとソクラテスが生まれたのが​​、紀元前470年。アリストテレスが死んだのが、紀元前322年。この3人が受け継いだ150年、今から2000年以上前の思想が、今に繋がれ思想を学べる書籍も存在する。

 本ってつくづくすげぇ〜なぁ〜と思いました。笑 2000年以上の前の人なので、人格については著者の想像によるものだとは思いますが、前述したようにソクラテスはしゃべるだけで、書かなかった。自分の思想をプラトンに書かせたという印象がある。

 そう考えれば、本書に登場するソクラテスの「テキトー人間ぶり」も、なんとなく理解することが出来ました。無知の知を信念とする私ではありますが、本書に登場するソクラテスに夜のスナックで絡まれるようなことがあれば、ソクラテスのことは嫌いになるかも知れない。そんな風に考えさせてくれる本書でありました。笑

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