勉強の哲学 来たるべきバカのために 増補版 / 千葉雅也


 勉強とは自己破壊。そして著者の言葉を使えば自分の現在おかれている「ノリ」。勉強とは何をすることかと言えば、それは別の「ノリ」への引っ越しだという。

 なぜ引っ越しが必要なのか。それは「自由になる」ため。私たちは、基本的に、周りのノリに合わせて生きている。会社や学校のノリ、地元の友人のノリ、家族のノリ。そうした「環境」の「ノリ」にチューニングして、そこで「浮かない」ようにしている。

 日本社会は「同調圧力」が強いとよく言われるが「みんなと同じようにしなさい」それはつまり「ノリが悪いこと」の排除。「出る杭は打たれる」とはよく言われる言葉です。

 しかし勉強をする事により、これまで自分の属していた「ノリ」から外れる方向に向かうことが出来る。それに必要なのは「深く」そして「根本的」に。本書では「ラディカル・ラーニング」と呼んでいます。

 自分とは、他者によって構築されたものだという。不満や苦しみがあっても、そこから抜け出そうと何かを始めるのは難しい。一度できあがった生活習慣は非常にしぶとい。笑

 深く勉強、学ぶことにより「痛気持ちいい」自分の「ノリ」を増やして行く。私もこうやってたくさん本を読んでいますが、今まで興味がなかったものや、学ぶ必要が無いと思っていたものも、無作為に情報を詰め込んでいるものとして、非常に納得できる内容です。

 私は読書の効果と聞かれ必ず答える2つの答えがあります。「カラーパス効果」と「カクテルパーティー効果」です。知らない人はググってください。笑

 自分が今まで興味はあったが知らなかった「ノリ」全く興味もなかった「ノリ」触れたくないとすら思っていた「ノリ」そんな様々な「ノリ」に興味を持って、引っ越ししないまでも、皆さんに引っ越した先の「ノリ」のことを、酒の席でも語れる様になりたいものですね。笑

11 th in December / 315 th in 2023