「女性向け風俗」の現場 彼女たちは何を求めているのか? / 柾木寛


 女性向け風俗があることを、なんとなく「そんなのもあるんだろう」程度の認識で思っていましたが、Kindleで見かけたので思わず読んでしまいました。笑

 著者は、女性向け風俗店を運営する40代の現役セラピスト。施術歴6年だという。たくさんの女性の身体、性と向き合う中、性的に満たされている女性が極めて少ないことを知り、女性の性に対する男性の間違った理解・男女の性のすれ違いを改善する目的で執筆した本書だという。

 風俗で就業する女性を「風俗嬢」というのに、自分のことを「セラピスト」と名乗るのは、少し違和感がありましたが本書を読んで、妙に腑に落ちました。

 詳細な記述に触れると、少し生々しいのでふせておきますが、本来、男と女はどのように接し触れ合うべきなのか。そんなことをとても考えさせられる内容です。こんな記述がありました。

 日本では古来、各村落の中で若者組と娘組の間での夜這いを通して、若者が性の知識・技術を身に着けてきた歴史的背景がありましたが、明治以降そうした風習が廃止され、国策として純潔教育が実施されるようになっていきます。そして現在、国家主導の純潔教育が実体験を伴わないものになっていく中、他人の性行為を見ることのできる機会はアダルトビデオ(AV)しかないという社会環境になっていきました。男性たちはAVを通して、女性の身体の間違った扱い方を知らず知らずのうちに学んでいます。

 AV男優の中には、「AVはファンタジーの世界なので真似しないで下さい」「AVは男性が興奮するために作られたものであり、女性の気持ちは考えられていません」と警鐘を鳴らしている人もいます。男性側の視点で作られたAVの影響によって、男女の性のすれ違いが引き起こされています。このすれ違いは、もはや個人レベルの問題ではありません。女性の性の問題は、社会レベルで向き合わないといけない問題だと私は考えています。

 AVは私も中学生の頃から知っている。笑 あたかも、それが手本のように思っていたし、他人の性行為など見ることが無いし、なにが正解なのかはわからないが、AVは少なからず自分の行為に参考にはしていたし、それは女性にも言えることだろう。

 なにも知識がない状態で、男と女が触れ合うなら、今の自分と同じ行動を取るのだろうか。そんな男女が二人で培った行為は、今のAVや自分の行為とどんな相違があるのだろうか。女性の風俗というそんな入口の本でありましたが、男と女の本質というか、果たしてなにが正しいのか。そしてどうすれば幸せになれるのか。そんな深い考えをさせてくれる本書でありました。

15 th in January / 15 th in 2024