田舎のポルシェ / 篠田節子


 大型台風が接近中だというのに、灯りも人気も絶えた未明、岐阜市内の駐車場で女がひとり、迎えのハイエースを待っている。市の資料館で働く増島翠。そこに現れたのは、なぜか古びた軽トラックで、全身紫のツナギ&喉元から金鎖&丸刈りの強面な大男が降りてくる。

 翠の同僚の知り合いで、東京・八王子にある翠の実家から150キロの米を運んでくる仕事を日当3万円で請け負った瀬沼剛。

 かくして初対面の男女が、ポルシェ911 と同じリアエンジンリアドライブ の〝田舎のポルシェ〟を駆って、往復1000キロに及ぶ旅に出る。

 翠はなぜ故郷を捨て、縁もゆかりもない地方都市でひとり暮らしを続けているのか。台風が迫る中、大量の米を引き取らなければならなくなったのか。酒屋の跡継ぎだった瀬沼は、なぜ便利屋で日銭を稼ぎ、ハイエースでなく軽トラでやって来たのか。

 共に30代半ばながら共通項がまるでないふたりの会話が軽妙につづられ、それぞれの事情が顕わになっていく。同時に、令和の今も日本人を縛っている旧弊な価値観、衰退する一方の農業や地方の現状が浮き彫りにされていく。

 すいません。笑 これは解説のコピペです。私もこんなうまい解説ができる様になりたいものです。そんな尊敬を込めてコピペさせて頂きました。笑

 スバルのサンバートラック のファンは未だに多い。その証として程度のよい中古はありえないくらい高い。実際に「田舎のポルシェ」とか「農家のポルシェ」と自分の愛車を表現し、悪路走破性が高いことをアピールする人は私も何人か知っています。笑

 そんな軽トラを、小説の主人公以上の主役に持ってきている辺りが、とても斬新であり親近感が非常に湧いたりと、とても楽しい内容でありました。

 荷物を積んでいない時、乗り心地がとても悪いが、荷物を積むと乗り心地が劇的に変化する。そんな記述がありますが、著者は軽トラを所有しているわけではないと思いますが、そんなマニアックな世界を取材などにより仕入れて、小説に組み込むあたりが妙に腑に落ちる。笑

 スバルはもうオリジナルの軽トラは売っておらず、ダイハツの軽トラをサンバーの名 で売っています。私も一時、所有していたときがあった。笑 せっかくスバルと言う、国内では独自のブランドを確立しているのだから、スバルらしい軽トラという意味でも、#スバル製のサンバーを復活 させて欲しいものと考えさせる内容です。

 スバリストはもちろん、スバルの営業マンにもぜひ読んで欲しい1冊ありました。私にも、頻繁に電話をかけて来るスバルの営業マンがいますが、ぜひ読んでみなさいと強要しようと思います。笑

05 th in December / 309 th in 2023