東京貧困女子。: 彼女たちはなぜ躓いたのか / 中村淳彦


 貧困に苦しむ女性を取材し、彼女たちのおかれた境遇。なぜ、現状の様になってしまったのか。貧困に苦しむ女性は何をするのか。それらは彼女たちの自己責任で済む話なのか。そんなことをとても痛感させる本書でありました。

 風俗に走る女性は、借金苦に悩んでいたり、ホストに貢いだり、親のネグレクトが原因とか、ダメ男と一緒になったとか、そんな話はたくさん本を読んでいたので知っていたが、あまり予想もしていなかった原因があった。

 私の想定になかったのは「奨学金制度」です。将来の自分への投資という、綺麗事でごまかし、担保は無くても返済能力は出来るだろう。そんな憶測で若者に金を貸す。専門学校や大学を卒業後、借金返済を求められる。

 その利用する割合は、高校卒業後、進学する若者は40%も利用しているという。高等学校を就職する若者たちが、就職と同時に何百万もの借金を背負っているこの社会は果たして健全と言えるのだろうか。

 制度を作った政府。それに群がった金融機関。人員確保する術をえた学校法人。まさに大人の事情がプンプンです。笑

 女性が風俗や夜の商売。そしてAVに足を踏み入れるのは、22歳が一番多いという。まさに奨学金の返済が始まり、このままの自分では破綻してしまう。そんな危機感や、早く返さないと人生が駄目になる。そんな考えが自ら行動してしまう。

 本書では冒頭に、奨学金を利用し、現役で国立医大に通うという「有村架純似」の女性を紹介しています。一緒に歩いていると、大半の人が振り向くというほど、きれいな女子大生が、風俗で稼いでいると言う話を紹介していました。

 学びに対し「国民皆平等」的な政府の優しさを表現した「奨学金制度」かも知れないが、実際は周りが進学するのでウチも進学する。そんな安直な考えで奨学金を利用し進学。結果、政府や金融機関の金づるになるのでは無いか。

 そんな、社会の闇をとても感じさせてくれる内容でありました。私は専門学校に2年通い就職しましたが、親のお陰で奨学金は利用しませんでした。就職と同時に何百万の借金があったら、どんな20代だったのか。笑 あの世にいる、親父に感謝しながら今日も飲みたいと思います。

「けんぱーい!!」笑

11 th in November / 297 th in 2023