派遣社員あすみの家計簿 (2) / 青木祐子

「派遣社員あすみの家計簿」に続く(2)ということで第2弾です。シリーズものはAudibleで勝手に次が流れてくるので、勝手に読んでしまう傾向があるようです。(笑)

 前巻で元彼・理空也の浪費に巻き込まれ正社員の仕事を辞め、無一文の危機を経験したあすみは、家計簿をつけながら派遣社員として再スタート。少しずつ自立の道を歩み始め、新たな彼氏・豊加と付き合い始めて3ヶ月が経過したところから本巻は始まります。

 あすみは理空也との同棲マンションから引っ越し、新生活をスタートさせるはずでしたが、新居に洗濯機が入らずコインランドリー通いの不便さに直面。洗濯機購入資金を貯めるため、副業としてデリバリー配達員「ムーバーフード(ムバフ)」を始めます。ピンクのリュックが可愛くて衝動的に決めてしまうあたりがなんとも主人公らしい。

 一方、豊加は大手企業グループの契約社員として正社員登用がほぼ決まっていたものの、アメリカの大手銀行倒産の余波で話が白紙に。激怒した豊加は会社と争って辞め、無職になって「しばらく休む」と宣言してしまう。無職の彼氏から「結婚を前提に一緒に住まないか」とプロポーズされるタイミングが微妙で、あすみは戸惑います。 

 仕事面では、派遣先の大手グループ会社で時給30円ダウンの新契約を打診され、仲間との時給差も知ってショックを受ける。あすみは派遣を辞め、午前中だけの小さなシステム会社(リモート補助業務)に移り、午後からムバフを本格的に頑張ります。ムバフでは意外と才能を発揮し、Twitterで同業者と情報交換しながら充実した日々を送りますが、豊加はそれを快く思わず「あすみは育ちがいいから」と理想の未来像を押し付けてきます。 

 並行して、前巻で知り合ったミルキーのエピソードが描かれています。結婚を控えていたミルキーが式直前に行方不明になり、あすみは心配。Twitter経由でミルキーの父親を名乗る男が現れますが、豊加が警戒して追い返す。あすみは共通の知人・椿さんの助言も得てミルキーを探し出し、地方へ逃げたいという彼女に3万円を渡してバスに乗せます。ミルキーは後日お金を返し、無事に新しい人生を歩み始めます。なかなかぐっとくるシーンでありました。(笑)

 豊加との価値観の違い(正社員至上主義 vs あすみの「今頑張った自分を信じたい」という思い)が深刻化し、ケンカに発展。あすみは「私の未来に曇りはない」と言い切り、豊加との関係に揺らぎを見せつつも、自分のペースで生きる決意を固めます。派遣・副業・人間関係のすべてを家計簿とともに地道にこなすあすみの成長と、現実的なアラサー女性の苦労・希望が丁寧に描かれたそんな内容です。

 全体として、1巻の「浪費からの転落」から「自立への奮闘」と「人間関係の再構築」に焦点が移り、テンポよく読みやすい軽い語り口ながら、雇用形態・お金・結婚観といった現代的なテーマをとても考えさせられる、そんな一冊でありました。