お笑い芸人・にしおかすみこさんの実録エッセイです。コロナ禍の2020年頃、芸人として東京で活動していた著者(当時45歳前後、元SM女王様キャラの一発屋、独身)は、千葉の実家に戻ることを決意。
理由は、かつて一家の大黒柱で看護師として働き、家族を支えていた母(80歳)の異変。実家に戻ってみると、家はゴミ屋敷化しており、母は認知症が進んでいた。
家族構成は全員「ポンコツ」。母(80歳、認知症+糖尿病)は、元々しっかり者だったが、記憶力の低下、幻覚・妄想、怒りっぽさ、介護拒否などの症状が出現。そしてお風呂嫌い、薬の管理、日常のトラブルが頻発します。
姉(47歳、ダウン症)は、可愛らしくマイペースだが、収集癖や子供っぽい行動があり、作者や母の負担。父(81歳、酔っ払い)は、酒好きで給料を飲み代に使い、ゴミ箱を壊したり問題を起こします。著者自身は、一発屋芸人として苦労しつつ、家族の介護に奔走。ユーモアとツッコミを交えながら奮闘していく様子が描かれています。
物語は、日常の具体的なエピソードを通じて展開します。記憶力テストでの予想外の回答、ヘドロのような汚部屋掃除、大晦日の大事件、クリスマス、花火、ワクチン接種、姉との外出、地域包括支援センターとのやり取り、冷凍マグロ騒動など、笑えるような、しかし壮絶なトラブルが続きます。
母の認知症進行による変化、介護のリアル(「ダメと言わない」姿勢など)、家族間の愛情や葛藤、父や姉との関わりが描かれ、重いテーマをユーモアと温かさで包み込んだ内容です。
著者が実家で5年近く介護生活を送る中、母の症状は徐々に進行します。本書では母の生前の日常や家族の絆が主に描かれていますが、2025年11月頃、母は84歳で急逝。作者は葬儀を終え、遺骨と共に帰宅したことを公表しています。
母の死去を振り返り、1年前の思い出や父との喧嘩、家族のこれからを綴っています。母亡き後も「ポンコツ一家」は続き、作者と姉がどう幸せに生きていくかを模索する段階へ移行していきます。
完璧でない家族だからこそ愛おしく、介護の苦労をお笑い芸人らしく「笑って泣ける」形で伝える内容になっています。重苦しくなりがちな認知症介護を、著者の鋭い観察眼と芸人らしい軽やかさで描き、読者に家族の絆や「その人らしさ」を考えさせる内容となっています。
我が家もボケ老人がいるので、とても他人事とは思えませんが、さまざまなヒントを与えてくれる、そんな一冊でありました。