染井為人さん、「悪い夏」「正義の申し子」「引きこもり家族」「震える天秤」「滅茶苦茶」「硝子のマンション」「みずいらず」に続き、本書で8冊目のアウトプット。最近は手当たり次第に読んでいる感じです。(笑)
中学卒業と同時に群馬の実家を飛び出した15歳の少女・七瀬は、歌舞伎町のトー横に流れ着く。父親から幼少期に繰り返し性虐待を受け、母親は新興宗教に傾倒。彼氏や周囲の人間からも裏切られ、絶望しきった七瀬にとって、歌舞伎町は唯一心を休められる場所だった。
感情を殺し、達観した目で街を見据えながら、トー横キッズの仲間たちと過ごし、ガールキャッチ(男をぼったくり店に連れ込む)やドラッグの運びなどの危ないバイトで生活する。
ゴールデン街のスナック「きらり」の老婆・サチやガーナ人の密売人コディ、内藤組の若頭・矢島や下っ端の颯太、トー横の若者を支援する一般社団法人「PYP」の代表・藤原悦子ら、歌舞伎町の様々な大人たちと関わりながら、七瀬は街の闇を生き抜いていきます。
しかし、仲間の一人である愛莉衣がオーバードーズで路上死した事件をきっかけに、物語は大きく動き出します。この死の裏には、トー横の子供たちを食い物にしようとする大人たちの悪意や利権が絡んでいたが、七瀬は内藤組の矢島に見出され、PYPの藤原らの弱みを握るよう指示されるなど、闇社会に深く巻き込まれていきます。そして最後に七瀬は生き埋めに・・・
時間軸がジャンプして、七瀬(あるいは謎の女・愛として暗躍する姿)が成長し、知恵と度胸、美貌を武器に歌舞伎町を食い物にするヤクザ、半グレ、NPO関係者、政治家らに復讐を遂げていく痛快なリベンジストーリーへと展開していきます。
七瀬は被害者としてだけでなく、自らの正義に基づいて行動し、犯罪に手を染めながらも街や仲間を守るような行動をします。登場人物たちの過去や人間性が多視点で描かれ、誰もが加害者・被害者になり得るグレーな世界観が浮かび上がる、そんな作品になっています。
復讐していろんな人が行方不明にはなるのですが、「その後の展開はどんな感じなのよぉ〜!」とツッコミたくなるところだらけです。その分、殺人シーンのようなえげつない描写が無いのは、それはそれで嬉しいような・・・(笑)
そして、主人公の「七瀬」のキャラがとてもいいので、是非スピンオフを読んでみたい。そんな風に思わせてくれる作品でございました。
7月5冊目_2026年106冊目