恋愛中毒/山本文緒

 なんか聞いたことがあるようなストーリーだと思っていましたが、読書メーターで読了済みに登録しようとしたら、2024年2月に読んでいたようです。(笑) 

 主人公・水無月美雨は、翻訳家を目指しつつ弁当屋でアルバイトする慎ましい生活を送っていた。過去の結婚生活の失敗から「もう他人を愛しすぎない」「他人を愛するぐらいなら自分を愛するように」と心に誓い、感情を閉ざして生きていた。

 ある日、弁当屋に客として現れたのは、かつて美雨が大ファンだった人気小説家・創路功二郎。強引で女好き、わがままな性格の創路は、美雨をすぐに食事に誘い、関係を持つ。美雨は彼の事務所でドライバー兼秘書となり、彼の愛人たちの一人となる。

 創路には本妻・のばらや、有能な秘書で愛人の久保陽子をはじめ複数の女性がいた。それでも美雨は彼にのめり込み、献身的に尽くす。創路の好みに合わせた服装や行動、ライバル女性たちを巧みに遠ざける努力を重ね、他の愛人を排除し、最終的に本妻までも離れさせるほどに。彼女の愛は純粋な恋から、依存・執着・狂気へと変貌。

 回想の中で明かされる美雨の過去。大学時代、美雨は同級生の男性にストーカー行為をし、夫となる藤谷直樹に助けられた。藤谷との結婚生活は最初は幸せだったが、美雨の異常なまでの執着に藤谷は耐えきれず、離婚。離婚後も美雨は元夫に無言電話をかけ続けるなど、未練を断ち切れずにいた。

 創路との関係でも同じパターンが繰り返されます。創路を「自分がいなければ何もできない男」にしようと甘やかし、コントロールしようとするが、創路の娘の存在や彼の心の離反を感じ取り、精神的に追い詰められていく。

 本書は、甘い恋愛物語ではなく、愛の執着がもたらす恐怖と人間の心理の暗部を抉るサスペンス的な内容です。主人公の傷つきやすさや「愛しすぎてしまう」という、そんな危うさが、自分をコントロール出来なくなってしまう。そんな女のお話でございました。

 もし、こんな女に言い寄られたら。そんなことを思うのと「身の毛もよだつ」と思うのは私だけではないでしょう。本書を読むのは2回目でしたが、ほとんど覚えていません。前に読んだアウトプットをみたら今回と少し違う感想だったので、それはそれで面白い読書体験だと、思わせてくれる良い体験をさせて頂きました。(笑)

 作者のことが気になってWikiで調べたら、こんなことが書いてあった。

 2021年春頃より体調を崩し、ステージ4Bの膵臓癌と診断され余命4か月の宣告を受けて自宅療養を続け、同年10月13日、軽井沢の自宅で死去した。58歳没。

 58歳といえば、まさに現在の私の年齢です。本の感想に加えて、作者の無くなった経緯を知ったことにより「私もいつ死んでもおかしくない。」そんなことを思い、いつ死んでも悔いが残らないよう、今日も酒を飲もうと思います。(笑)

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