M資金 欲望の地下資産 / 藤原良

 先日読んだ ”闇バイトの歴史「名前のない犯罪」の系譜” に続き藤原良さん、二冊目の本書。「M資金?」まったく聞いたことが無い言葉だった。検索するとこのようなことが出てきます。

 「M資金」とは、第二次世界大戦後にGHQ(連合国軍総司令部)が接収または隠匿し、現在も秘密裏に運用されていると語り継がれる「伝説の巨額秘密資金」のことです。実際には存在せず、これを悪用した詐欺事件が昭和の時代から後を絶ちません。

 GHQの経済科学局長であったマーカット少将(General William F. Marquat)が管理していた資金であるとされ、名前の頭文字から「M資金」と呼ばれています

 全く知らなかった。(笑) 最近、Netflixで「地面師たち」を見たので巨額詐欺にも少し興味があったので、そんなことを思いながら手に取らせていただきました。

 本書は、戦後昭和から令和まで続く「M資金詐欺」の歴史、仕組み、そして今も大企業経営者や財界人を魅了し続ける心理的メカニズムを、著者の取材に基づいて描いたノンフィクションです。

 「私達のM資金は本物です」「やっぱりあれはあったんですね」というセリフで象徴されるこの詐欺は、巨額の秘密資金を餌に、手数料や準備金などの名目で金を騙し取る古典的な手口でありながら、戦後の混乱期に旧日本軍の隠し財産に関する噂が基盤となっており、時代を超えて被害を生み出しているという。

 ブラックマーケットやスキャンダルを通じて詐欺の道具に転化し、女性詐欺師たちも「M」に魅入られて活躍した時代があった。典型的な手口は、政府や国際機関関係者を装った詐欺師が偽造資料を使い、「莫大な隠し資産を引き出す協力」を持ちかけて初期費用を要求し、姿を消すというもの。

 令和に入っても詐欺は進行形で、外食大手コロワイドグループの会長・蔵人金男氏が31億円超を騙し取られた事件があった。蔵人氏はM資金を強く信じる「M資金信者」タイプで、数年前にも別グループから数千万円を失っていた。詐欺師らは彼の心理を熟知し、台湾王朝の血筋を自称する老人詐欺師らを介在させて長期的に搾取。

 他にも千代田区Zビルディング関連事件など、壮大なウソで埋蔵金や巨額融資を餌にするケースが続き、被害者は「ロマン」や「秘密情報」に付け入られた。詐欺師側では、大手町グループ、MSA名刺を使う者、新橋グループ、在日系グループ、上野グループ(骨董品詐欺連動)など複数のネットワークが活動し、偽造屋の「生田のお婆」や伝説の女詐欺師・岩合直美のような個性的な人物が登場します。

 岩合は権力者をも手玉に取り、ローソン元社長関連の話でもその手腕を発揮したとされ、幻影を見せたり牙をむいたりする巧妙な手法が用いられた。

 一方で、M資金に群がる経済人たちの側面も詳述され、産業革新機構、大手旅行会社、地方銀行、大手食品メーカー、日用品メーカー、医薬品卸会社などの事例が挙げられています。

 大物ほど日常のビジネスでは得られない「特別な機会」や興奮に弱く、確約書や申込書などの心理操作で長期的に「飼育」されるケースが多い。

 最終的に、本書はM資金が新手の被害者や新種の手口(仮想通貨絡みなど)で増殖し続ける理由を指摘しています。荒唐無稽な話なのに信じてしまうのは、人間の欲望や虚栄心、探求心が時代を超えて残るからであり、証拠が残りにくく表沙汰になりにくい構造も持続要因だという。

 私は大物でもなんでも無いので、本書に出てくるような何千億円の融資のハナシなど持ちかけられることは無いと思いますが、「一流のキーパーソンだからこそ騙される」という、そんな図式がよく理解できたような気がします。

 じつは昨日、「この補助金を使えばこんな買い物が出来る」と商談を持ちかけられ、まぁまぁ大きい買い物をすることにしました。もしかしてそれは、詐欺だったんじゃね? そんなことをふと思いましたが、本書に出てくるような「先に手数料を払うシステム」ではなく「先に現物が来るスタイル」なので詐欺で無いことを祈りたいと思います。(笑)

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