恋愛中毒 / 山本文緒


 単純に「小説家ってすげぇ〜なぁ〜!!」と思わせてくれる1冊でありました。よくこんな設定とこんな物語を創造できるのだろう。そして、その内容を文章にできるなんて。面白い小説を読むといつも思いますが、こんな感覚は「蜜蜂と遠雷」以来かもしれません。笑

 1人の男と、愛人たち。そして本妻。愛人たちは認知どころか一緒に過ごし、本妻とも交流をする。しかし、愛人たちのする行動は基本的に「シェア」。今どきと言えばそうなのかもしれないが、とても不思議な感覚です。

 表向きは仲が良いが、ライバルのようで、仲間意識もあったりする。不思議なバランスで成り立っている、男と愛人たちの様子。自分は男なので、愛人たちの気持ちに入ることよりは、こんな男になったらどうなるのだろう。そんなことを思うが、全く想像できないレベルが、余計に本書の凄さを感じさせてくれました。

 冷静に考えれば、登場人物はみんな「変な人」ですが、その絶妙なバランスというか、関係性というか、その中で起こるエピソードもどんどん引き込まれて行く。そんな漢字でしょうか。

 主人公が頭で思う思想や行動など。そんな「主観」が少し恐ろしさもあり「恋愛中毒」という本書の題名もとても納得するようで出来ないような、そんな不思議な感じです。笑

 主人公は、男を切らしたくない、とっかえひっかえ、そんないつも男がいなければダメというような、単純な女ではないあたりが、深く、そして怖い。まさに「中毒」な感じが文章から伝わって来る印象でありました。

 本書を読んだ後、映像化になっているのでは無いかと思い検索したら、薬師丸ひろ子主演で映像化されていました。Youtubeで少し見ましたが、結構、原作に忠実そうなので、是非、いつか鑑賞して見ようと思います。笑

This is the 02th book in February and the 27th in 2024.