あの日 / 小保方晴子


 最近Audibleに登録した。2ヶ月無料ということなので、とりあえず2ヶ月は聞きまくってみようとおもう。登録したらこれを聞こうと思っていたのが本書です。著者の生い立ちから始まりSTAP細胞の騒動の真相について。著者自らが朗読したオーディオブックです。

 全編を通して感じたのは著者の真面目で優秀な様子。そんな著者であるからこそ、苦しみ葛藤、涙する様子が、本人の朗読ということもありビシビシ伝わって来る内容でありました。

 記者会見で言った「STAP細胞はあります!」10年以上前に聞いた声なのに、今でも頭の片隅に残っている声で語られています。プロの喋り手ではないし、どちらかというと舌っ足らずというか幼い声の朗読が、著者の苦しみが倍増して伝わる印象です。

 あらゆるメディアが、追いかけ、痛めつけ、叩きのめし、そして面白おかしく報道する。そして、著者の人生を奪ってしまう。週刊誌や新聞が売れればいい。視聴率が上がればそれでいい。そんなメディアの犠牲者になっていく様子が、とても詳細に語られています。

 確かに著者のミスや、研究者としての力不足が原因であるかもしれないが、全責任を彼女に押し付けるのはおかしい。研究している機関の組織の人間関係など、全然想像できない分野ではありますが、必要以上に著者を全面にアピールしておいて、ミスが発覚したとたん全責任を負わせようと報道するメディア。

 自分がこんな境遇に立たされたら、一体どうなってしまうだろう。玄関先に訪れる記者に刃物を向けるかもしれない。単純に死を選択するかもしれない。著者のように我慢できないだろう。それでも、著者は自分の発見した真実を伝える事を諦めなかった。本当に尊敬します。今は何をしているかしりませんが、幸せな生活をしていることを願うばかりです。

 そして終始、心が痛くなるような耳読書でございました。Audible、最初の1冊目。完全に選択ミスです。笑

This is the 17th book in February and the 42th in 2024.