日本が財政破綻しないたしかな理由 Modern Monetary Theory〈MMT〉の本当の説明 / 川村史朗


 お金のないところから、新たなお金が生み出される。そんなことを聞くと、新しい紙幣を印刷する。そんなイメージを持つ人が多いだろう。

 しかし、現在の貨幣システムは「お金はないところから突然生み出される」状態で成り立っている。

 そのカラクリは「信用創造」と呼ばれている現代の金融システムであり「銀行からお金を生み出してもらっている」ということを前提に考えれば、「国の借金」という概念はおかしいということが本書では説かれています。

 私が銀行から100万円借りたいと、借金を申し込んだとする。銀行は集めた預金を貸し出して、利ざやで稼いでいるイメージがあるが実はそうではない。「準備預金」を日銀の口座に入れておくことにより、その何倍もの貸出(融資)をすることができる。

 私の通帳に100万円と記載するだけで、お金を生み出すことができる。銀行のお金を準備して私の口座に記帳しているわけではない。

 私が100万円を借りたことにより、お金は生み出されるが、私がお金を返すとお金はどこかに消えてなくなって行く。

 このカラクリを国債に置き換えて説明されています。国債の発行額が増えるとともに、国民の金融資産はどんどん増えて行く。政府の赤字は国民の黒字であり、政府を黒字、もしくはプライマリーバランスという名の「トントン」に持って行こうとすればするほど、国民の黒字(資産)は無くなって行く。

 そもそも、「家庭や民間」と「政府」の「お財布事情」を対比することはおかしいという。「政府」と「日銀」の関係を、家族や民間の連結会社と比べるのはおかしい。

 私がどんなに博打にハマり、豪遊し、女を何人も作り・・・嫁から借金をしようが、嫁に世の中に「通貨供給」できる力があれば、我が家は破綻することはない。私が嫁に借金をしているだけで、それが我が家の借金になるわけではないという、そんなカラクリだろうか。笑

 少し脱線してしまいましたが、本書はその他に、「お金とは何なのか」「デフレとインフレの本質」「プライマリーバランスは改善しなくて良いのか?」「国債発行はハイパーインフレ?」など。様々と語られていますが、私が読んだ「MMT」関連の本では一番カンタンでわかりやすい印象です。

 本書のサブタイトルに「30分でわかる」と書いてありますが、決して大袈裟では無いと思います。「MMT」について、興味が出た人は少ないと思いますが(笑)、触りを知るには、とても推薦します。ご興味がある方は、是非読んでほしいと思います。笑

This is the 01th book in February and the 26th in 2024.