死刑について / 平野啓一郎


死刑廃止の国際的な流れに反して、

死刑制度が残っている日本。

支持する声も根強いし、私もどちらかといえば、極刑として「死刑」は存在して良いと漠然に思っていたし、犯罪抑止力に少しは効果があるのではないかと、そんなふうに思っていた。

しかし、死刑が廃止された国や州で、凶悪犯罪が増えたという報告も無ければ、国連の調査においても、死刑の犯罪抑止力を実証できないと報告されているという。

死刑制度のある日本では、通り魔的犯罪を犯した犯人が「死刑になりたいからやった」というような事件が、私の記憶の中でもいくつかある。

死刑になるために凶悪犯罪をする人間が存在するのは現実です。死刑がなければ怒らなかった事件であり、犠牲者も生まれなかったのかもしれないと考えると、犯罪抑止力とは真逆の方向ではないかとも感じられる。

死刑に反対すると必ず議論にあがることがある。

自分の家族が殺されても犯人を許すのか。

私は幸いなことに、家族を殺された経験はないが、どんな感情になるのかはハッキリ言ってわからない。

犯人を許すことと、死刑に賛成や反対とかは、関係ないような気がするし、今までそんなことを考えたこともありませんでした。

本書を読んで、私は賛成とか反対とか議論するほど考えもありませんが、少なくとも今まであまり考えることの無かった「死刑」について。

これから考える糧にしたいと思います。

11 th in October / 271 th in 2023