原田ひ香さん「月収」「三千円の使いかた」「母親からの小包はなぜこんなにダサいのか」に続き、本書で4冊のアウトプットになります。4冊目ともなると、なんとなくですが著者の作風というか、雰囲気がわかってくるような気がします。(笑)
本書は、短編連作形式のグルメ&ヒューマンドラマといった感じの小説です。 主人公・犬森祥子(バツイチ、アラサー)の日常を中心に、夜の仕事と夜勤明けの「ランチ酒」、家族との複雑な関係が描かれています。
犬森祥子は離婚後、旧友の亀山太一が営む「中野お助け本舗」で「見守り屋」という特殊な仕事に就いています。仕事内容は夜22時から朝5時頃まで、依頼者の家などで人(子ども・高齢者)やペット、物をただ「見守る」だけ。寝ずの番をし、必要に応じて軽い対応をする静かな夜勤です。
祥子の唯一の楽しみは、夜勤明けの「ランチ酒」。仕事のあった街でその日の気分に合った店を探し、美味しい料理とお酒を堪能しながら一息つく時間。
肉丼、餃子、から揚げ、寿司、フレンチなど実在しそうな東京の店が詳細に描写され、料理とお酒を通じて、祥子の心の声が生き生きと描かれています。
仕事で出会った依頼者たちの人生に思いを馳せ、自分自身の過去や現在を振り返ります。まさに、「一人反省会」といった感じでしょうか。(笑)
祥子には幼い一人娘がいますが、離婚時に元夫が親権を持ち、義両親と同居する形で育てています。祥子は月に1回程度の面会しかできなく、娘の幸せを第一に考えながらも寂しさを抱えています。
離婚の背景には、妊娠が発覚しての「できちゃった結婚」のせいもあり、義母との同居生活の摩擦、夫婦の気持ちのかみ合わなさがあった。祥子自身も孤独を感じ、家に帰りたくない気持ちを「ランチ酒」で紛らわせるといった一面もあるようです。
「見守り屋」として「キャバクラ嬢の娘」や「アルツハイマーの高齢女性」「孤独を抱える人」「妻を亡くした人」など、さまざまな事情を抱えた人々の、孤独や人生の機微に触れながら、自分も「見守られる」側であることを自覚します。
本書は「さびしい」けど「楽しい」といった感じの「一人時間」の大切さや、「食を通じた癒し」を、とても感じさせてくれる内容でありました。
本書に関する著者のインタビューで、取材で実在のランチ店を取材して回っていたら、、主人公の祥子にしっかり飲ませたい一心で、自分もランチで2杯飲んでしまうことが多く、体重が増加したというエピソードが紹介されていました。(笑)
みなさんご存知だと思いますが、私もお酒が大好きです。(笑) 家で飲むときは妻は飲めないので「一人のみ」です。「一人で飲んで楽しいのか?」という人がいますが、本書を読んで、「さびしい」けど「楽しい」といった感じの「一人時間」の大切さが、とても正当化してくれる気がしたので、今晩も一人でお酒を楽しもうと思います。(笑)
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