ハンチバック / 市川沙央


私の人生とはかすりもしない、

自分と障害女性がパラレルであるように、

障害女性と涅槃(ねはん)の自分もまたパラレルである気がした。

重なるようで重なり得ない。

両親とお金に庇護されてきた私は

不自由な身体を酷使してまで、

社会に出る必要がなかったから。

私の心も、肌も、粘膜も、

他者との摩擦を経験していない。

本好きなら、昨日の芥川賞受賞の記者会見をみて、興味が出なかった人はいないだろう。笑

早速、kindle unlimitedではない、久々の課金読書。

そんなミーハー読書は、1400円なり。笑

健常者が普通に読書出来ることに対して嫉妬する。

自分にとって紙の本はハードルが高い。

実際、芥川賞受賞の記者会見で最後に著者は、

読書に関するバリアフリーを訴えていた。

紙の本が好きという人は多い。

それが著者にとっては嫉妬らしい。

生きれば生きるほど、自分の体は病に蝕まれて行く。

普通の女性に対する憧れが屈折する。

自分には、恋愛や子育ては無理。

しかし、性交、妊娠は出来るはず。

そして中絶を望む。

そんな思想から奇怪な行動を取る主人公。

記者会見の話に戻るが、

「だれに受賞を最初に伝えたか」問われていた。

「7歳年の上の姉に。同じ病で寝たきりです。」

そんな風に答えていた。

本書は著者のデビュー作でいきなり「芥川賞」

著者のキャラクターが際立っていたことはありますが、

次はどんな作品を出してくるのか。

そんな期待をさせてくれる本書でありました。

24 th in July / 207 th in 2023