ウクライナから来た少女 ズラータ、16歳の日記 / ズラータ・イヴァシコワ


おばあさんの家で出会った日本語の本。

見たことも無い字に魅了し、日本に興味を惹かれていく。

日本のアニメ、絵を書くことが大好きで、いつか日本にいってマンガ家になりたい。そんな夢を抱く少女。

日本語を独学で学び、夢を膨らませて行く。

朝、爆撃音があったことを母から聞くが、当事者意識がまだ薄い少女。そして学校に行くと先生からこう言われる。

「みなさん、明日から戦争になります」そう、言われこれからの対応について説明される。

先生の宣言どおり、日常はどんどん変化していく。

そしてある朝、母からこう言われる。

「あなたは日本に行きなさい」

シングルマザーの母が貯めた渡航費用の16万円。

国外脱出をしようとするが、いつ動くかわからない列車。

たどり着いた、ポーランドで初めて会う日本人の取材陣。

日本語が通じるか、話してみて伝わった喜び。

その出会いが転機となり、取材スタッフの通訳の手伝いをして広がる人脈や支援。

あと数時間で出発というときに「コロナ陽性」というハードル。

著者の彼女は無事、来日できて日本でちゃんと暮らしているようです。

そんな彼女の周りで起きた出来事が、「日記」という形で本書には綴られています。

どれくらい、彼女の綴った文章なのかはわかりませんが、

You Tubeでも検索すれば、ポーランドでの取材陣との最初のやり取りも出てきます。その日本語力を垣間見ると、取材陣が「報道ステーション(朝日系)」だが、納得できるような気がします。笑

率直に著者は凄いです。笑

独学で日本語を学び、本書を書き上げていること。

素敵な絵を書けること。

日本語が堪能で、日本を愛してくれていること。

本書には、印象的な場面が彼女が描いた「絵」が紹介されています。表紙の絵も、彼女が書いたものです。

そして、まだ10代。戦争を起因として、日本に来た。

宝物は、太宰治の「人間失格」それも初版版だという。

15000円したと書いてあったが、たしかにネットで調べたら、それくらいしているようだ。笑

太宰の人間失格。

子供の頃、読んだ記憶はあるが、内容がぜんぜん思い出せない。笑

ウクライナから、日本に来た少女の本を読んで、

改めて「人間失格」を読んでみようと思わせてくれました。笑

本書のレビューをいくつか読みましたが、

著者の同年代の親戚にプレゼントすると書いている人がいた。

彼女の日記を読むことにより、

どれくらい今の自分が幸せなのか。

如何に「戦争」という出来事が、不幸せを招くのか。

そんなことをとても体感できる。

私も全く同感です。

たくさんの人に読まれることにより、彼女を応援することになるし、

平和ボケしている日本人こそ、

読むべき1冊。

少女の提言を体感してほしい。

そんな1冊でありました。

31 th in July / 214 th in 2023