謎のアジア納豆 そして帰ってきた〈日本納豆〉/高野秀行


ミャンマー奥地で納豆卵かけご飯に出会い、日本以外にも納豆を食べる民族が存在する事を知った著者。それから始まる納豆探求の超絶ドキュメンタリーです。

巻末の「解説」でこのようなことが書かれています。

書店で本書を手にとって、巻頭パラパラと数ページめくってからこの解説文で概要を知ろうとする人も多いと思うので、まず結論から言う。

この本は傑作だ。

あなたの納豆観を覆し、しかも納豆を入り口にアジア中の辺境民族文化の旅へと誘い、さらに現代におけるディープな旅とは何か?という問いかけまでが含まれている。「買おうかな?どうしよっかな?」と悩んでいる暇はない。今すぐレジに持っていって納豆を食べながら本書を貪るように読まれたい。

以上終わり!

私も全く同感だった。笑

納豆は日本独自のもの。

食えない外国人は残念。

イネ(ワラ)にいる納豆菌がすべて。

そんな風に思っている人にぜひ読んで欲しい。

自分の納豆に関する概念を、全て覆してくれる1冊でありました。

著者が感じたことで、とても印象的な言葉があった。

日本の納豆はバリエーションが無い。

そう、ミャンマー人に指摘された時があったという。

アイスならバニラだけ。

ヨーグルトならプレーンだけ。

例えるならそう思ったという。

日本ではご飯にかけるというバリエーションがほとんどです。

酒の肴に使用するなど、創作料理はさまざま存在するけれど、

元の納豆は同じ。使用する納豆にはバリエーションは存在しない。

ミャンマー、シャン族の納豆文化は凄かった。

1ヶ月にも渡りミャンマーに現地滞在し、様々な納豆を堪能し、日本に戻った時に感じた日本の納豆は、粘りがあまりにも人工的で不自然なことを感じたという。

日本は納豆をご飯にかけるという、用途限定のため粘りに特化。それに進化した納豆。それが故、ご飯にかける以外の選択肢を失って行く。

秋田で知ったこととして、納豆を自己生産すると必ず出る失敗作で納豆汁を作りそれが故に生まれた文化だとか。

本書を読んだだけで、もう「納豆博士」になった気分です。笑

これだけ「納豆探求世界旅」そして本書の中で「納豆合宿」と称する自家納豆制作研究をしている著者が、一番美味しい納豆としてあげている納豆が、2つありました。

岩手県和賀郡西和賀町の「雪納豆」と「菓子箱納豆」

雪納豆はメディアでも大分取り上げられていましたが、その傍らで作られていた「菓子箱納豆」

本を読む感じだと、ほぼ絶滅種なのかも知れませんが、出来ることならいつか食ってみたいものですね。笑

11 th in November / 316 th in 2022