おひとりさまの老後対策 / 大村大次郎


 高齢単身者の老後は、夫婦世帯より経済的に更に厳しくなると断言しています。妻には絶対服従し、絶対捨てられないようにしよう。そんな風に思わせてくれる本書です。笑 

 生涯未婚率は年々上がり続け、おおよそ男性の4人に1人、女性の7人に1人が生涯結婚することなく人生が終わる。所得の減少や非正規雇用といった経済的要因が主な原因とされているが、「おひとりさま」となるのは未婚者だけでなない。

 離別、死別などで独身者になる人もいる。夫婦同時に死ぬことがない限り、子どもがいない場合、いても同居していない場合は誰もが高齢単身者となる。

 しかし、日本の年金制度は夫婦単位で設計されており、しかも住居費が発生しない持ち家があることが前提だという。物議を醸した「老後2000万円問題」では、老後に必要となってくる介護費やリフォーム代は入っていない。つまり2000万円では足りない。

 高齢単身者は恵まれた一部を除き、困窮する運命にある。実際、生活保護受給者の過半数が65歳以上の高齢世帯で、そのうちの9割以上が高齢単身者。

 しかし私はこの手の本を読むといつも思う。こんな境遇になったときにお世話になるためにあるのが「生活保護」であり、日本国民全員に最低限の生活を保証しているのに、なんでこんな危機感を煽るんだろうといつも思う。

 そして「老後2000万円問題」についてですが、2019年に行われた金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書で「老後の30年間で約2,000万円が不足する」と発表されて話題になった問題です。

 私もよく覚えていますが、発表があまりにも突然過ぎた印象がありました。もしこの発表が特定の業界に配慮されたプロパガンダだとしたら、どうだろう。少なくともタンス預金や預貯金しか持っていない人は、どこかに動かすアクションをすることは容易に予想出来ます。

 2019年にはもうすでにiDeCoもNISAも始まっていましたが、今より加入者も少なければ、流れるお金も少なかった。そちらにお金を流したくない金融商品を扱う人や、不動産投資の窓口をしている人などは、金融庁がそんな発表をしてくれれば、少なくとも営業のきっかけには十分すぎるアイテムです。

 私は経営者なので、死ぬまで稼ぐ気でいますが、仕事をやめてから使うお金を貯める心配するより、死ぬまで稼いで収入を得られる工夫をしていくほうが、もっと人生前向きに生きれるのではないかと、そんなことを思わせてくれる本書でありました。

 現役を終えてから時間が経っていない人が、亡くなった人は、偲んでくれる人は多い。現役を終えてから10年も人前から退いて亡くなった人は、必然的に偲んでくれる人は少ないはず。私は前者を目指したいと思います。笑

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