高学歴難民 / 阿部恭子


 ごく普通に、学歴が高いと安定した高収入になれると大抵の人は思っている。しかし、本書はそんな学歴が高くても、社会に打ち解けれないと言うか、適合出来ない人たちが、たくさん紹介されています。

 高学歴なのに、社会に適合が出来ないというより、社会に適合しにくい人が勉学に励んで高学歴になってしまった。そんな印象でしょうか。

 もっと学びたい。世間では良しとされることが、高学歴難民が墓穴を掘っていく。そしてそれを支える家族も、結末が予想できないまま、「もっと学びたい」を後押しする。

 CAになったが職場に馴染めず、司法試験を目指す高学歴難民が紹介されていた。CA退職→司法試験3回失敗→就職面接は不摂生極まりない容姿で不採用→新興宗教入信→外人の信者と結婚→海外移住。彼女の特筆すべき理由は、母親が常に自分の娘を自慢している感じだろうか。

 最後の海外移住も、新興宗教であてがわれた夫なのにも関わらず、海外のエリートサラリーマンと結婚したと身の回りに自慢しています。

 ワタシも高学歴なのに、パッとしないと言うか、めくれないヤツが何人か思い浮かぶ。笑 本人の、特に将来に関するビジョンに問題はあるのはもちろんですが、それより支える親の影響も大きいのではないか。そんなことを思わせてくれる本書でありました。

5月20冊目_2024年110冊目