老いては「好き」にしたがえ! /片岡鶴太郎

 著者の実体験に基づく、老いを前向きに捉え「好き」に従う人生後半の生き方の指南書といった感じでしょうか。

 人生を充実させるコツは、心の赴くままに行動することだと主張。マッチや小森のおばちゃまなど、モノマネでブレイクした後、役者をベースにボクシングでは、33歳でプロライセンス取得、絵画は38歳頃から始め40歳で初個展、ヨガは57歳から初めてインド政府認定インストラクター資格取得。三線は67歳からなど、次々と新しい分野に挑戦してきた著者の経験を基に語られています。

 還暦を機に人生をリセットし、24歳で結婚して約35年間続いた結婚生活を61歳に離婚。賃貸マンションでの一人暮らし。「ヨガ離婚」と話題になったが、真の理由は「死へのゴールが近づくと自分に正直に生きたい」という気持ちからだった。

 妻や息子たちにも正直に伝え、残りの人生をそれぞれが好きなことをして生きる方が良いと考え、納得してもらったのだという。

 60代は体が元気に動く最後の時間。漫然と過ごすのはもったいないと、終活には目もくれず、自分のしたいことだけに情熱を注ぐ。

 現在は独身をエンジョイし、ガールフレンドもいないが孤独を楽しむ生活。やりたいことの見つけ方として、心の中に無数にある「シード(種)」=気づいていない能力や潜在的な欲求を挙げておりました。

 ふとした瞬間に「発芽したい」とサインを送ってくるので、それを見逃さず心の赴くままに行動するとよいという。

 子供の頃の「好き」を思い出すのもヒント。頭で考えた「好き」ではなく、魂が感じる「好き」を重視するべき。年齢やセンスは関係なく、「真似から入って反復する」ことで上達し、オリジナルにするのだという。

 衰えを逆手に取り、暮らしを愉しむ方法も紹介しています。男の更年期を自ら乗り越え、深夜3時間のヨガをルーティンに、肉を避け野菜中心の蒸し料理など一日一食。石鹸やシャンプーを使わないお湯洗い、白髪ロン毛などファッションを楽しむ。

 「かさばる男」にならず、シンプルな関係を大切にし、立場ややり方に固執せず生涯現役を目指す。死後のことより「今日」に集中し、死は当然のものとして過度に悲しまず、生きている時間を大切にする。理想の死に方は昼寝のように他界すること。

 全体を通じ、「老いは変化のチャンス」であり、失うものがあるからこそシンプルになり本当に欲しいものに気づけると説いています。ストイックかつ自由に「好き」を追求し、毎日の反復で自分を進化させ続ける生き様が、年齢を重ねる前向きな姿勢として描かれています。

 年齢に縛られず心の声に従う生き方にはとても刺激をいただける内容でありました。還暦での離婚やヨガ・絵画への没頭など、自身の経験を通じて「シード(種)を見逃すな」と説いています。

 私にはなにか「シード(種)」があるのだろうか。起業を経営し従業員の生活を支えなければならないので、著者ほど自由奔放に生きれるとは思えませんが、数年後60歳を迎えるものとして、なにか今までにはない決定的ななにかという「シード(種)」を見つけたい。そんなことを思わせてくれる本書でありました。

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