きみのお金は誰のため: ボスが教えてくれた「お金の謎」と「社会のしくみ」/ 田内学

 お金に関する付き合い方や知識を小説仕立てで教えてくれる本書。すこしお金に関する知識を、少し違う観点から学べたような気がします。

 中学2年生の優斗と投資銀行勤務の七海が、謎の大富豪「ボス」から出される「お金の謎」を解いていきます。

 ボスが提示する3つの核心は次の通り。

 ①「お金自体には価値がない」。紙幣や硬貨はただの紙や金属で、価値を与えるのはそれを受け取って働いてくれる人の存在。お金は「誰かに働いてもらうためのチケット」にすぎない。

 ②「お金で解決できる問題はない」。問題を実際に解決するのは、お金を受け取って商品を作ったりサービスを提供したりする人々である。無人島ではお金は無価値になるように、働く人がいなければお金は機能しない。

 ③「みんなでお金を貯めても意味がない」。社会全体で見ればお金は移動しているだけで総量は変わらず、老後資金を全員が貯めても、支える労働力が不足すれば物価が上がるだけで根本解決にならない。

 税金はお金の循環を促し、投資は「投資される側」を支え、社会の不便を解消して未来を創る行為だと位置づけ。働く本質は「誰かの役に立つこと」であり、お金を稼ぐことだけではない。

 私たちが何にお金を使うかで未来の社会が決まり、自分だけでなく社会全体を豊かにする視点が、結果的に個人の幸せにもつながる。

 お金の向こうに人がいることを知り、道具として上手に使うことで、お金に振り回されない生き方が可能になるというような内容です。

 私も含めた、お金を「稼ぐ・貯める」ことばかり考えがちな日常に、根本から視点を変えてくれる本書です。

 「お金=チケット」という例えが非常に分かりやすく、働く意味や消費の選択が社会を形作ることを実感できるような気がします。

 金融教育の本として優れているだけでなく、人生の優先順位を見つめ直すきっかけをもらえるような気がします。「自分は経営者としてどうお金を循環させればいいのか」そして「誰のために生きてどう働くのか」そんなことを考えさせられるような本書でありました。

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