本書は、曹洞宗の僧侶で庭園デザイナーの枡野俊明が、日常のささいな出来事で動揺しクヨクヨしやすい人向けに、禅の教えを基に「動じない心」を養う実践的なコツを説いた内容になっています。
メールの返事が来ない、ドタキャンされた、嫌なことを言われたといった人間関係のストレス、仕事のプレッシャーや評価の悩み、将来への不安、自分自身の感情の揺らぎといった具体的な場面ごとに、優しく解きほぐしていきます。
核心は、物事をシンプルに捉え、今やるべきことだけに集中する。あれもこれも同時に考えて焦るのではなく、目の前の一事に没頭する姿勢が、心を安定させる。執着を手放し、結果や他者の評価に振り回されない。
人間関係では距離感を大切にし、苦手な人や嫌な言葉に過剰に反応せず、感情的にならず淡々と対応する。仕事ではノルマや予定通りにいかない状況を受け入れ、愚痴をこぼさず、目の前のことに全力を尽くす。
将来の不安については、「命は預かりもの」という視点で感謝を持ち、今できることをコツコツ積み重ねることを勧めています。
自分の心と向き合う点では、イライラや不安、落ち込みを「あるもの」として認めつつ、長く引きずらない。不安は妄想に近いことが多いと気づき、ポジティブになれなくても無理に変えようとせず、自然に流すとよいという。
日常の小さな所作を丁寧に行い、休息や自然との触れ合いで心を整えることも重視。強い心ではなく、雲のように柔軟で形を変えても本質を失わない「柔軟心」を目指せという。
特別な修行は不要だが、考え方を少し変え、執着を手放す習慣が「動じない」日常をつくる、というメッセージが伝わって来る内容でありました。
本書を読んで、日常の些細なことで心が揺さぶられる自分を肯定しつつ、具体的な対処法を禅の視点から穏やかに示してくれると感じさせてくれました。
難解な教えではなく「今に集中し、手放す」というシンプルさを実践し、現代の情報過多や人間関係のストレスに疲れたときに、本書で読んだことを思い出せ、心の支えになるかも知れない、そんな一冊でありました。
9月8冊目_2026年163冊目