医者も親も気づかない女子の発達障害 / 岩波明

 ADHDとは、不注意、多動性、衝動性を主な特徴とする発達障害のひとつ。ASDとは、社会的なコミュニケーションの難しさや、強いこだわり、感覚の過敏・鈍麻などを特徴とする発達障害の一種。

 本書はADHDやASDなどの発達障害が女性で特に見逃されやすく、大人になってから発覚するケースが多い理由を、精神科医の視点と当事者対談で解説した内容になっています。

 女子の症状は男子ほど目立たない。多動・衝動性が弱く、不注意や内面的な苦しさとして表れやすいため、親や教師、医師も「ちょっと変わった子」「ミスが多い子」程度に捉えがち。

 日本社会が求める「空気を読む」「気が利く」「控えめなやまとなでしこ」像と正反対の特性を持つ彼女たちは、「女の子なのになぜできない」と二重に責められ、生きづらさを深めるのだという。専門医でさえ、うつ病や不安障害と誤診する例が少なくない。

 本書の核は紹介されているリアルな対談といってもいいでしょう。

 トリプル発達障害の漫画家・沖田×華は、嫌われても気づかなかった子ども時代、場面緘黙で言葉が出ない感覚、怒られると眠くなる体の反応、強いこだわりを赤裸々に語っています。

 20代の絵画講師と50代の公務員のADHD当事者も、家庭や職場での失敗、診断までの長い孤独を明かしています。

 発達障害は珍しくなく、治らないがコントロール可能。薬物療法、自己理解、対処スキル、周囲の理解が鍵となるという。

 家庭・職場で叱責や期待の押しつけなど、「やってはいけないこと」と対応のポイントを具体的に示し、本人も周囲も特性を知って環境を整えることで、生きやすさを取り戻せる道を提示しています。

 発達障害だった何人かの有名人をあげていた。さくらももこ・勝間和代・水木しげる・山下清・野口英世など。

 前に野口英世の本を読んで、ハチャメチャぶりにたまげたのを思い出した。

 23歳のとき、アメリカへ留学するための支援金として周囲から集めてもらった約600円(現在の価値で300万〜400万円相当)を、東京での送別会や遊郭などで一晩のうちにすべて使い果たしたエピソードを思い出す。(笑)

 有名人の他に私の読んだ小説も話題に出していた。「こちらあみ子/今村夏子」。映像化にもなっているので興味がある人はぜひ見て欲しい。

 広島に住む少し風変わりな少女・田中あみ子の小学校から中学卒業まで日常が描いたストーリー。純粋だが他人の気持ちがわからず、授業中に騒ぎ友達もできないあみ子は、父・哲郎、継母・さゆり、兄・孝太と暮らす。

 さゆりの書道教室に通う同級生のり君に一方的に想いを寄せ、誕生日に父からもらったトランシーバーで生まれてくる弟とスパイごっこを夢見ます。しかしさゆりは死産し、あみ子が庭に「弟の墓」を作ったことでさゆりは精神を病み引きこもる。

 兄は暴走族に加入し不良化。中学であみ子はのり君に告白して顔面を殴られ前歯を失うが、かばって「転んだ」と嘘をつく。

 父はあみ子を父方の祖母の家に預けて一人広島へ戻り、家族は離散。あみ子はトランシーバーで「こちらあみ子」と呼びかけても応答はない。そんな不思議な新しい生活を始めていく。

 私は今村夏子の大ファンといってもいいほど、彼女の作品が大好きです。発達障害の本を読んで今村夏子のことを思い出せてよかった。そんな読書の連鎖に感謝したいと思います。(笑)

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