本書はアイデア・プロット・キャラクター・文章作法・推敲・技巧が、6章で構成された創作論の解説本です。
エンタメ小説の本質は「妄想」であり、読者を引きつけるには「面白い」と「わかりやすい」の両立が肝だと説いています。
アイデアは降ってこない。日常で「もし○○が××だったら」と発想し、メモを常に取りストックし熟成させ、オリジナリティある異様な妄想に磨き上げるのだという。
自作『黒い家』や『ISOLA』の誕生秘話も紹介しています。プロットは冒頭・クライマックス・結末の三点を先に決める。大きな謎をメインエンジンに、小さな謎を補助ブースターとして配置し推進力を生む。
主題にとらわれず、物語を進めるうちに自然に浮かび上がるのが理想。舞台選びや論理の徹底も重要だというが、どんでん返しはリスクがあるという。
キャラクターは「声」をイメージし、弱点を魅力に変えることが大事だという。そして主人公への感情移入が読者を引き込むための鍵になるという。
文章作法ではカッコいい表現を避け、簡潔・読みやすさを優先。漢字とひらがなのバランス、改行のタイミングを意識する。
推敲は小説を「油絵」のように何度も重ね、贅肉を削ぎ落とす作業。自分の文章を繰り返し直すのが上達の近道。技巧では読者の感情移入を促す仕掛けや新人賞対策を提示しています。
最終判断基準は常に「面白いかどうか」。自作を例に具体的に解説し、プロの心構えも語られています。
ベストセラー作家が自作の舞台裏を惜しみなく明かし、理論と実践がとてもバランスよくまとまった実用書といいう印象です。メモ習慣やプロット、推敲の重要性など、すぐに試せるような具体策がとても豊富に紹介されておりました。
特に「主題は後からついてくる」「わかりやすさを最優先」という姿勢が印象的で、エンタメ志向の書き手やファンにとって刺激になる一冊でございました。
著者の小説は読んだことが無いので、本書で紹介されていた『黒い家』は是非読んでみようと思います。
私は小説家になれる気はしませんが、本書で学んだ「メモを常に取りストックし熟成」という技法は、なにかとても役に立ちそうなニオイがするので、ぜひ実践してみようと思います。
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