タクジョ! みんなのみち / 小野寺史宜

 本書は先日読んだ「タクジョ!」の続編です。最初に第3弾の「タクジョ! みんなのみち」を読んだので、3弾  → 1弾 → 2弾と、変な順番になってしまいましたが、順番に読まなくても、前2書同様に「一期一会のほっこり」を、とても楽しませてくれる内容でありました。

 コロナ禍が明け、街に人が戻った頃、高間夏子(26)は新卒でタクシー運転手になって4年目を迎えていた。

 女性客が安心して乗れるよう自らこの道を選んだ彼女は、東央タクシー東雲営業所の仲間たちと共に、日々さまざまな乗客を運びながら、一期一会の出会いを通じ、自分の人生も考えさせられます。

 物語は営業所のメンバーそれぞれに焦点を当てた章で展開します。イケメンでお調子者の先輩・姫野民哉(28)は、航空会社から転職して6年目。同期の霜島菜由(26)は内勤への異動を迷い、もう一人の同期・永江哲巳(26)は採用課で人材発掘に励みます。

 強面のベテラン・道上剛造(56)は、見た目とは裏腹のほろ苦い過去を抱え、元同僚の川名水音(38)は再婚を機に札幌へ移り、再びタクシー運転手として働きます。 

 タクシーの車内という密室で交わされる運転手と乗客の会話が中心となり、日常のささやかな出来事や、人生の分岐点が丁寧に織り交ぜられていきます。

 夏子は仕事に慣れつつも、自身の将来や人間関係について静かに思いを巡らせ、仲間たちもそれぞれ悩みや不安を抱えながら「お客さんを送り届ける」使命感を持って走り続けます。

 夏子が「読書デビュー」をしようと意気込んで本屋さんに行き、店員とやり取りする中で、ミステリー本の内容をどんどん聞いてしまい、結局その本は買わずに、店員さんのオススメを買うというシーンがあります。

 そして買った本がとても良かったので、本屋さんにお礼にいって、またオススメの違う本を買うんですが、このやり取りにとても「ほんわか」させられました。

 最後に筆者が、本屋さんの店員にお礼が書かれていたので、こんな店員さんが実在するのでしょう。私は電子書籍かAudibleで済ませて、紙の本はほとんど読むことはありませんが、こんな店員さんがススメてくれるなら紙の本でも読みたいと思わせてくれる、そんな素敵なやり取りでございました。

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