タクジョ! / 小野寺史宜

 先日、著者の「タクジョ!あしたのみち」を読みました。アウトプットする過程で、「あしたのみち」はタクジョシリーズの第3弾ということを知ったので、第1弾と第2弾も読むしかないだろう。そう思い手にとった第1弾の本書です。

 大学を卒業した高間夏子は、女性のお客さんが安心して乗れるタクシーを増やしたいという思いから、新卒で大手タクシー会社「東央タクシー東雲営業所」に入社。

 23歳の彼女は、女性ドライバーが全体のわずか3%程度という男性社会の中で、若葉マークをつけて運転手としての第一歩を踏み出します。 

 入社後、夏子は個性豊かな先輩や同期に囲まれながら、日々の業務に取り組みます。お調子者でイケメンの先輩・姫野民哉(元航空会社勤務)、強面だが面倒見の良いベテラン・道上剛造、同期の霜島菜由や永江哲巳らとの交流を通じて、仕事のノウハウを学んでいく。

 タクシーの車内ではさまざまな乗客と出会い、一期一会の会話が交わされる。観光客を案内したり、日常の悩みを聞く穏やかな乗車から、無賃乗車を企てる客や強盗まがいの危険な客に遭遇するハラハラする場面まで、リアルなタクシー業界の光と影が描かれています。

 夏子は家族や元カレ、職場の人々に支えられながら、徐々に一人前のドライバーとして成長していきます。恋愛面では、職場の人々との関係性も微妙に揺れ動き、夏子自身が仕事とプライベートのバランスを考え、選択を重ねていきます。

 物語は派手な大事件ではなく、日常の小さな出来事や人間関係の機微を丁寧に積み重ね、夏子がタクシードライバーとしての道を歩み続ける決意を固めていく過程を中心に進みます。

 同期や先輩たちの葛藤、客との心温まる出会い、時には苦い経験も織り交ぜながら、温かく爽快な青春お仕事小説としてまとめられている感じでしょうか。 

 夏子が新人から少しずつ自信を持ち、仕事にやりがいを見出し、周囲とのつながりを深めていく半年ほどの物語ですが、少しづつ成長していく夏子を、「かんばれ!」と応援したくなるそんな感情が湧いてくる、ほんのりとさせてくれる内容でございました。

 本書を読んで「タクシー業界に入りたい」と思う人はいるかも知れない。それくらい「タクシー」という空間の「一期一会」という、そんな魅力をとても感じさせてくれました。

 本書はシリーズの第1弾です。第3弾の「あしたのみち」は読了済みなので。第2弾の「タクジョ!みんなのみち」も是非、読んでみようと思います。

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