東日本大震災 陸上自衛官としての138日間の記録/西郷欣哉

東日本大震災当時、陸上自衛官として138日間。

災害派遣任務に従事した著者。

それらを時系列にまとめてある。

そんな本書です。

私も震災当時仕事柄、自衛隊の方々とは電話で打ち合わせしたり、

最前線で一緒に復旧活動も共にした。

それらを踏まえた上で、実際はそうなんだ。

そんな風に思わせてくれる記述がたくさんありました。

少人数で被災最前線に赴く著者。

自衛隊が来てくれたという安心感を持つ被災者。

実際著者は何も出来ず、かけれる言葉は、

「後から部隊が来る」そんなコトしか言えないジレンマ。

4月末まで「飢え」を感じていたという。

被災地での買い物は禁止、住民からもらうのも禁止され、

破ると「処罰対象」であり被災者からの温かい行為を

受け入れることを拒否していたという。

それらを知り、隠して食料をくれる人。

見えない袋に入れて車に勝手に入れるなど。

そんな被災者の心遣いに涙したという。

自衛隊は行政の要望や指示で活動しているのでは。

私はそんな風に思っていた。

その様な想定は確かに存在するのかも知れないが、

本書を読む限り、違うのでは無いか。

そんな事を感じさせられる。

独自で最前線に偵察。

すぐ自分たちが出来ることを展開する。

そしてすごく印象的だったのが、

撤退するタイミング。それに対する葛藤。

もっと応援したい。見届けたい。

しかしそれは本当は住民のためにならない。

苦渋の決断、そんな気持ちで撤収する。

「震災」という出来事。

地元の建設会社という立場で体感し経験してきた自分。

様々な書籍のおかげで多方面から客観視すること。

後世に伝える立場では無いのかという自分に対し、

そして貴重な体験をしたものとして、

非常に大切なのではと思わせてくれる。

そんな1冊でありました。

81th in 2022