染井為人さん、「悪い夏」「正義の申し子」「引きこもり家族」「震える天秤」に続き、本書で5冊目のアウトプット。やっと作者の傾向がなんとなくわかってきました。(笑)
本書はコロナ禍を舞台に、3人の全く異なる人生が転落しながら絡み合うミステリーといった感じです。
東京でキャリアを謳歌する30代女性・今井美世子、北関東の進学校に通う高校生・二宮礼央、静岡で老朽ラブホテルを経営する中年男・戸村茂一。
それぞれ孤独や欲望を抱え、小さな選択が次々と最悪の方向へ転がり落ちていく。ほんとうにタイトル通りの「滅茶苦茶」な展開です。
最初は呆然としますが、3人の運命が予想外の場所で交錯する終盤は怒涛のスピード感を感じることができました。
社会問題である、ロマンス詐欺、犯罪、家族の崩壊など、さまざま織り交ぜつつ、どこかブラックユーモアを感じさせるのが作者の傾向が出ているような気がします。(笑)
人は追い詰められると、どれだけ愚かな選択をしてしまうのか。自分だったらどうするのか。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。
加えて、日本国民が経験した「コロナ禍」という出来事。確かに自分も感染しないようにとメディアに翻弄され、とっていた行動が今となってしまえば、「なんて滑稽な行動だったのか」と、そんな風に小説を通じて思い出させてくれる、そんな内容でございました。
6月18冊目_2026年99冊目