新渡戸稲造の書いた「武士道」は全世界で売れ、「日本の心を外国に伝えた人」であり、岩手出身で5000円札になった人。恥ずかしながら、その程度の認識しかありませんでした。
後藤新平の本を読むと必ず出てきます。後藤新平が新渡戸を台湾に呼ぶんですが、体の調子が悪いと断る新渡戸に新平が猛プッシュするのが印象的だったので覚えています。
あらためて「武士道」を読んだことがなかったのと、最近読んだ本に古いものほど読み繋がれているものが多いので、ハズレが少ないと書いてあったこともあり手にとってみました。笑
かつての日本には、わが国固有の伝統精神があった。武士道もそのひとつ。それは1899年に英文で発表し、世界的な大反響を巻き起こしたという。
当時の日本は、文明開化の真っ只中で。怒涛の如く押し寄せる西洋の新しい価値観によって、社会全体がことごとく西洋化していった。その変わりゆく姿を見て、新渡戸稲造は「日本人とはなにか」を問い直そうと考えた。
そして彼は失われゆく日本の伝統精神を振り返ったとき、「武士道」こそが、日本人の精神的支柱であり、それを世界に広く紹介することが日本のためになると考えた。
外国人から「宗教教育がない日本で道徳はどうやって教えているのか」と驚かれたことにより、本書を書こうと思ったという。
確かに日本人は道徳観というか、礼儀も含めて宗教から得ているものでは無い。日本には,神道,仏教,キリスト教,諸教など多種多様の宗教文化が混在しているが、それとは別のところで日本人の価値観というか、規律というか、礼儀というか。
それこそ災害が起きるたびに、暴動が起きないことが世界から称賛される、日本人としてピンと来ないところがある。それらが、本書を読んで日本人が古来から受け継がれる「武士道」に通じるのではないか。そんな印象をうけました。
新渡戸と新平の関係を調べているときに、ちょっと興味深いことを知ることが出来た。笑
新渡戸稲造はキリスト教信者です。札幌農学校(現北海道大学)の二期生として入学しますが、農学校創立時に副校長(事実上の校長)として一年契約で赴任した「少年よ大志を抱け」の名言で有名なウィリアム・クラーク博士は既に米国へ帰国しており、新渡戸たちの二期生とは入れ違い。クラークは一期生に対して「倫理学」の授業として聖書を講じ、その影響で一期生ほぼ全員がキリスト教に入信していた。その影響もありキリシタンになったという。
道徳ではなく倫理学。聖書を利用して倫理を学ぶ。宗教から道徳を学ぶ姿勢が世界では標準のようです。笑
今回はサラッと読みましたが、人から尊敬されるようなおじさんになるためにも、定期的に読み返したいものですね。笑
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