家に帰ったらクマがいた/米田一彦

 最近クマ関連の「クマから逃げのびた人々」を読んだせいで、アルゴリズムの推しがヒドいので、素直に応じてクマ関連の連投です。(笑)

 本書は、著者自身が50年以上にわたってツキノワグマを研究し、クマに3000回以上遭遇、9回襲われて生還した稀有な経験を基にしたノンフィクションです。 

 ある日、家に帰って玄関を開けると黒い大きな塊がいて、「おいっ」と声をかけるとクマが脇腹をかすめて逃げ去るという自宅遭遇エピソードを始め、著者はクマの知られざる習性や実態を詳細に語られています。

 クマが頭上から落ちてきたり、クマと一緒に眠ってみたり、クマの頭の上で弁当を食べたりするような至近距離での観察体験、母グマの強い子守り本能、手負いグマの危険性、2歳グマが市街地に出没しやすい理由など、ユーモラスで人間臭いクマの行動や生態が具体的に描かれています。

 遭遇時の対処法として、クマを刺激せず「石のように固まって動かない」ことが生存率を高めると強調しています。特に食事中や子連れの母グマの警戒心が強い点を指摘。また、山でクマの死体が見つかりにくい理由や、クマの死に様、樹木との関係、食べ物とのつながりといったテーマを通じて、駆除か保護か、共生の可能性を問いかけています。

 一番印象に残ったのは、この二元論を強く乗り越えようとしている姿勢です。多くの議論が「人間の安全第一で駆除すべき」「自然を守るために保護すべき」という極端な二極に分かれがちですが、著者は「クマの生態を深く知り、共生の道を探る」という現実的で科学的なアプローチを取っています。

 ワタシのような、山間部や地方在住者で、まぁまぁ頻繁に山に行くものにとっては、クマは命や生活がかかったリアルな脅威です。一方で、クマを無差別に駆除し続けると、生態系のバランスが崩れ、将来的にイノシシの増加など、別の問題を生む可能性もあるという。

 結局、ワタシはどっちがいいのか、よくわかりませんが、駆除と保護、その二元論を十分考えさせてくれる本書でありました。

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