著者は1995年生まれで、地方の貧困家庭で育ち、DVや経済的困窮を経験しながらも自力で這い上がってきた当事者。その実体験を基に、「見える貧困」だけでなく「見えない貧困」の連鎖を鮮明に、本書では描き出しています。
心に残ったのは「体験格差」と「非認知能力」の重要性。習い事に行けない、修学旅行を諦める、誕生日を祝われないといった日常の欠落が、自己肯定感、忍耐力、協調性を育たず、結果として学力や就職、人間関係に長期的な悪影響を及ぼすという。
経済格差が文化資本や「貧困税」として世代を超えて連鎖するメカニズムを、データと著者の生々しいエピソードで丁寧に分析しています。
「貧困税」とは、主に宝くじやギャンブルなどを指し、低所得者ほど収入に対する購入割合が高くなり、実質的に税金のように負担が重くのしかかる構造を揶揄した言葉だという。
私はそこそこ恵まれた環境で育ちましたが、本書を読んで「努力で何とかできる」という思い込みは、無邪気な幻想だったかも知れない、そんなことを考えさせられた。
「生い立ちが人生の8割を決める」というタイトルは、諦めではなく、社会全体でスタートラインを、揃える必要性を訴えるような内容になっています。
貧困は「個人の問題」は、もちろんあるとは思いますが、構造的な課題として捉え直すきっかけになったような気がします。
本書は、弱い立場の人々の声を社会に届け、誰もが生まれながらの環境に縛られず可能性を広げられる社会になるよう、社会に問いかけをなげている、そんな一冊でありました。
著者には、ほかにも「死ねない理由」とか「死にそうだけど生きてます」とか、気になるタイトルの著書も何冊かあるようなので、機会があったら手にとってみようと思います。
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