著者が50歳・55歳に関するエッセイを出しており、それに続く年齢をテーマにしたエッセイ集の完結編ということです。
60歳を「終わり」ではなく「新しいスタートラインを引き直す時」と捉え、抗うのでもなくあきらめるのでもなく、今の自分に合った選択を重ねていく姿勢を丁寧に綴っています。
著者はシングルで子どものいない身として、20年ぶりに生まれ故郷の東京へ戻り、コンパクトな住まいで猫と二人で暮らします。父親の看取りを経て実家じまいも経験し、暮らしを「小さく、軽やかに」組み替える過程をリアルに描いています。
重い鍋や思い出の家具を手放し、火を使わない「火のない台所」に移行して調理負担を減らし、家電は購入ではなく、お掃除ロボットなどのレンタルを活用するなど、年齢に合わせたダウンサイジングを進めています。
身体の変化も素直に受け止め、味覚が広がり今まで避けていた、濃い味や甘辛い味がおいしく感じるようになったこと、2年かけてグレイヘアに移行した過程、服の数を決めて減らしグレイヘアになるまで新しい服を買わないと決めたこと、スキンケアやメイクの見直し、室内履きや靴の変更による転倒防止など、日常の小さな工夫を淡々と記しています。
健康診断の継続やエンディングノート作り、寂しさや悲しみを否定せず外に出す感情の整え方、懐かしい友人との関係なども触れられています。
全体として、手放すことで得る自由と、自分らしさを大切にした静かで心地よい暮らしのヒントが詰まった一冊です。
現在58歳の私は本書の世代真っ只中ですが、いちばん気になったことは「グレイヘア」に移行した過程でしょうか。50を過ぎて、髪を染めるようになってから、完全に辞めどきを失っています。(笑)
染めれる髪があるだけ良いじゃないか。そんな友人はたくさんいますが、60代を目の前にし、そのタイミングをとても考えさせてもらえるくらい、著者の体験談は貴重なお話でございました。
私の理想では、一回、坊主にしてそのまま伸ばすことで、自然とグレイヘアに移行するのが良いとは思っていますが、偉大なヨメより結婚当初から「坊主にしたら離婚」と釘を刺されているので、なにか違う方法を考えようと思います。(笑)
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