著者の名前は、kindleやAudibleでよく見ていたのでなにか読んでいたのだろうとは思っていませんでしたが、調べたら何も読んでいませんでした。ということで、著者初めての読書です。
月収4万円から300万円までの6人の女性たちの人生を連作短編形式で描いたお金と人生の人間ドラマです。それぞれの収入に見合った生活や悩み、選択がリアルに語られ、最終話で全員の人生が交差し、伏線が回収される構成になっています。
月収4万円の女 乙部響子(66歳)
熟年離婚で家を失い、年金のみの厳しい生活。貯金を切り崩して田舎の古い家を購入し、細々と暮らす。スーパーで1円単位の野菜を選ぶような節約生活を送り、シルバー人材センターの仕事にも挑戦するが合わず、庭に植えたミントを売るなど小さな副収入。孤独と老後の不安を抱えつつ、細やかな工夫で日々を繋いで行きます。
月収8万円の女 大島成美(31歳)
デビュー作がそこそこ売れた売れない作家。専業作家を目指すが、生活が苦しく派遣社員をしながら執筆。年収100万円以下に抑えて非課税世帯の恩恵を受けつつ、不動産投資(田舎の古家購入→家賃収入)で安定を図る戦略を立てる。響子の隣の家を購入するなど、徐々に基盤を築いていく。
月収10万を作る女 滝沢明海(29歳)
会社員。金遣いの荒い両親の介護を心配し、極端な節約生活で毎月新NISAに投資。複利を活用した「お金の永久機関」(月10万円を永遠に引き出しても元本が減らない仕組み)を作り上げることを目指す。両親の再同居などで負担が軽減され、計画が功を奏す形になる。
月収100万円の女 瑠璃華(本名・萌、26歳)
パパ活専業で高収入。若さを武器に20代で1億円を目指すが、過去のパパからのストーカー被害に苦しむ。恐怖と孤独に苛まれ、人生の代償の大きさに直面します。
月収300万円の女 鈴木菊子(52歳)
夫の遺産と株式投資で働かずとも裕福に暮らす未亡人。自身が設立した会社を計画的に畳み、莫大な資産を持つが、夫が生前若い女性(瑠璃華関連)とパパ活をしていた事実を知り、絶望的な虚無感に襲われる。「自分のためだけに生きるには一生は長すぎる」と悟り、お金の先にある「人のための生き方」を模索する。
月収17万円の女 斉藤静枝(22歳)
児童養護施設育ちの介護士。仕事で高齢者の物だらけの家や終活の難しさを実感し、「生前整理」の会社を起業する。モニターとして響子の家を整理し、成美の活躍を知り、菊子から資金面の助言を受け、瑠璃華を雇うなど、6人の人生がここで交差・結びつく。
全体のつながりとテーマはバラバラに見えた6人の物語が、最終話の生前整理ビジネスを軸に繋がり合います。響子は整理の依頼主に、瑠璃華はスタッフに、菊子は資金やアドバイスで関わるなど、お金が「人を繋ぐエネルギー」になる様子が描かれます。
テーマは「お金は人生を決める冷酷な定規だが、それだけではない」という感じでしょうか。少ないお金で苦しむ人、増やすことに執着する人、ありすぎて虚無を感じる人、それぞれが「お金では買えないもの」を求めて動き、最終的に互いを支え合う希望的な結末を迎えます。
お金は誰もがたくさん欲しいと思うかもしれなない。しかし「月にいくらあれば幸せか?」というそんな問いを本書では、とても感じさせてくれました。「人生の豊かさ」はお金だけでは充実できるものではない。そんなことを考えさせてくれるそんな本書でありました。