東京女子サバイバル・ライフ 大不況を生き延びる女たち / 酒井あゆみ


著者は元風俗嬢のノンフィクション作家です。

数多くの風俗嬢を取材し、自身の体験も踏まえたルポになっています。

新型コロナウイルス感染症が日本で問題になり始めたころから、

 「これは風俗業界にたいへんな影響を及ぼす」と感じたという。

風俗は、体を売る女が買う男と「超濃厚接触」をすることで対価をいただく仕事です。コロナ禍における感染対策、つまり「密を避ける」とは真逆の行動がサービス。風俗業界や売る女たちが世間からどのような扱いを受けるのか。

コロナ禍でどんどん貧困化していく女たち。

貧困化から風俗業界に新規参入してくる女たち。

業界の事情や売る女として食べていくには、本当に大変なことだということが、ひしひしと感じとれる内容でありました。

「コロナを生き延びる常連客をつかむ術」という章がある。

そこにこんなことが書いてありました。笑

木嶋佳苗から売る女が学ぶべきこと

私は道を踏み外さなければ、最高の風俗嬢になっていたにちがいない人物を思い浮かべた。その女は法廷で、「今までしたなかで、あなたほどすごい女性はいなかったということを話していました」「具体的に、具体的には……テクニックというよりも本来持っている機能が高いということで」 と自ら名器自慢をしたことでも有名な、木嶋佳苗である。

交際していた3人の男性を練炭自殺に見せかけ次々に殺害したり(首都圏連続不審死事件)、婚活サイトで出会った男らから金をだまし取った詐欺などで死刑判決を受け、現在、塀の中にいる。

木嶋の男を引き寄せるその力は、3回の獄中結婚が証明している。

死刑囚として東京拘置所にいる木嶋に濃厚接触することはできないのだから、男たちは名器を試すこともできないし、木嶋お得意の手料理も食すことはできない。にもかかわらず、獄中で結婚離婚を繰り返し、3度目の結婚を果たしている。

「木嶋佳苗、恐るべし」である。

結婚したのは知っていましたが、3回していたとは恐れ入りました。笑

11 th in May / 116 th in 2023