行きつ戻りつ死ぬまで思案中 / 垣谷美雨

 垣谷美雨さん、小説を11冊読んだあとの12冊はエッセー集です。著者の頭の中を文章に吐き出している感じが、小説をだいぶ読んでいるせいか、とても不思議な感じをもらうことができた本書でありました。

 著者の小説に登場する人物に対し、さまざまな共感するようなことはありましたが、その元になった著者の頭の中をさらけ出しているというか、それを小説家らしくとてもうまく文章にしているというか。

 あとがきでも著者は書いていましたが、小説という鎧をまとわせ文章を書くことよりも、自分のことを書くのは、とても労力を使ったのでしょう。

 私も読んだ小説の誕生秘話というか裏側というか、そんな思想になったエピソードも含めて語られています。

 本をたくさん読んでいるのは、老いて時間が限られて来たので焦っているため。そんな記述がありました。私も50を過ぎてから多読するようになり、その感覚は、とても共感できました。

 読めば読むほど、自分が知らないことが多いことに気づく。ソクラテスの「無知の知」を思い出させていただきました。死ぬ前にもっとたくさん読もうと思います。(笑)

2月11冊目_2025年22冊目