未来 / 湊かなえ

 湊かなえさん、母性、落日、告白、サファイアに続き4冊目です。時系列が前後するので分かりづらいせいか、1つ1つは入って来ますが、全体像がよく見えなくて、これはAudibleで聞きましたが、2回続けて聞きました。笑

 ストーリーはとても複雑です。時代は行ったり来たりするし、語り部がどんどん変わるし、家系図というか関係図でもあったらわかりやすいのに。そんな風に思うレベルです。

 アマゾンの紹介にはこんなことが書かれています。「こんにちは、章子。私は20年後のあなた、30歳の章子です。あなたはきっと、これはだれかのイタズラではないかと思っているはず。だけど、これは本物の未来からの手紙なのです」ある日突然、少女に届いた一通の手紙──。家にも学校にも居場所のない、追い詰められた子どもたちに待つ未来とは!?

 30歳の章子から、小学生の章子に手紙が来て、返事を出したいけどどこに出したらわからないので、手紙がどんどん溜まって行くという。そんな手紙形式の文面で進んで行きます。

 章子のお母さんのダメっぷりがひどいんですが、読み勧めていくうちに、それはそうなるよなというような、不幸のオンパレードが始まります。

 虐待、DV、不倫、売春、イジメ、近親相姦など。告白のイジメのシーンもすごかったが、「使用済みのナプキンを机の上に置く」という、よくそんなイジメを思いつくものだと関心させられます。またその匂いで必ずゲロをする男がいるのも、とても良いエッセンスを与えてくれました。笑 そして不幸に対して、最後は放火や殺人という、凶行に出るのも本書の特徴です。

 Audibleで2回聞くのにきっと6時間位は要しただろうか。聞いている時は引き込まれ先を知りたくなるのに、最後はなぜかイヤな気持ちです。なんのためにこんな時間を費やしたのかと、悔いてしまうレベルです。笑

 しかしせっかく読んだので、こんな境遇でも耐えて、なんとか生きている人もいる。そんな中でもあきらめずに「未来」を信じて、生きて行けばなんとかなるのではないか。「とりあえず、私は幸せだ。」そんなことをとても感じさせてくれる一冊でありました。

 Yahoo知恵袋にこんな質問がありました。「中学生の娘が湊かなえさんの「未来」が読みたいと言ってるのですが、中学生には適してないかな・・と不安に感じています。」

 私も親ならそう思うでしょう。ベストアンサーはこのように書かれていました。「中1の女子です!  私は小学生の頃から湊かなえさんの小説が好きで未来も読んだことありますが確かに子供がひどい環境の中で、傷つけられ、苦しみ、迷うダークな小説なので適しているかいないかは、娘さんの性格などにもよりますね…ですが私は未来へ向かおうとする子供達の強さに心打たれました…! 私的には湊かなえさんの 少女 という小説がおすすめです!私が湊かなえさんの小説を好きになったきっかけの本で最後に2つのストーリーが繋がって何回も読み返したくなる本です!!

 中1の女子にならい、私も次は「少女」を読もうと思います。笑

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