今村夏子さんの「星の子」を最近読み直した。巻末に著者との対談が掲載されていて、なんか興味が出たので読んでみよう。そんな風に思って手にとってみました。笑
1991年、第104回芥川賞受賞作。早くに両親を亡くし二人で生きてきた姉と、主人公である妹の「わたし」。姉は歯科技師の夫と結婚し妊娠。ひとつ屋根の下で三人が暮らしていた。神経症的な精神疾患を抱えている姉は、ひどい「つわり」で何も食べられなくなり、家の中で生じるあらゆる臭いを拒絶する。
その姉に翻弄されながらも従順に姉の要求に従う主人公。「つわり」が終わって猛烈な食欲を見せ始めた姉に対し主人公は、グレープフルーツでジャムを作り毎日大量に食べさせる。そのグレープフルーツには、染色体に悪影響を及ぼすリスクのある化学薬品が含まれているのを、主人公は知っていた。
私も、妻が「つわり」で米を炊く臭いが、耐えられない。そんな風に言われたのを思い出した。本書では、もっと様々なものに嫌悪感を抱いている。スプーンが砂場の匂いがする。ハムエッグに発狂する。もし、自分の妻がこんなだったらどう自分は対応出来たのだろうか。
そして「つわり」が終わってからの「食欲」がすごい。前述の「グレープフルーツジャム」はもちろん、真夜中に食わなければならないと騒ぎ立てる「ビワシャーベット」。なんとかその欲望を抑えようと説得を試みるが、まったく聞く耳を持たない。
その言い分は・・・「ニンシン」。私は男なので、妊娠も出産も、つわりも経験したことはありませんが、女は偉大。そして「嫁はもっと偉大」。次の子供は俺が生むよ。そんな気遣いをしたくても、実現することはできない。
人生の貴重な若い世代の1年間。自分の子孫を残す。そんな行為のため、様々な試練と戦い実現した嫁に感謝。そんなことをとても思わせてくれる本書でありました。笑
自分の子供はめんこいが、嫁は・・・。こんな風に言う人は多い。子供がいるのは、98%は嫁のおかげ。自分は一瞬気持ちよくなっただけ。そんな風に思うべき。嫁に文句をいう旦那に、私は「お前はわかっていない」。そう、忠告しようと思います。笑
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