蝶野正洋 『 プロレス名勝負とあの事件の裏の裏 』/ 蝶野正洋

久々のプロレス本です。ワタシがプロレスに熱狂していたのは、藤浪と長州がバチバチの頃だったので、著者が台頭してきた頃には熱が幾分冷めていましたが、それなりには見ていたので本書もまぁまぁ楽しむことが出来ました。(笑)

黒のカリスマと呼ばれた蝶野正洋が、現役時代には気づけなかった真実や舞台裏の暗闘を、62歳の視点で率直に振り返るプロレス回想録といった感じです。

蝶野は1984年に新日本プロレスに入門し、同年10月に武藤敬司との試合でデビュー。以降、闘魂三銃士の一人としてG1クライマックスを複数回制覇し、nWoジャパン設立やIWGPヘビー級王座獲得など、数々の伝説を築いてきた。

本書では「nWoのフィーバーぶり」について触れていましたが、アパレル部門でnWoが大成功した経緯は、その後の自分に与えた影響が大きいことか書かれていました。

そうした忘れられない名勝負を一つひとつ取り上げ、試合直後には語られなかった「あんなこと、こんなこと」を、時間が経った今だからこそ気づいた視点で詳しく語っています。

内容は序章のプロレス入門前から始まり、第1章ではデビュー戦の武藤敬司戦、第2章ではヤングライオン杯決勝の橋本真也戦、第3章では鉄人ルー・テーズとの出会い、第4章ではアントニオ猪木&坂口征二戦での名言エピソード、第5章では伝説のG1クライマックス制覇と夏男襲名(武藤敬司戦)、第6章では第2回G1連覇(リック・ルード戦)と続きます。

さらに、闘魂三銃士時代の裏話、橋本真也選手の人柄やエピソード、長州力選手との関係、猪木問答、三沢光晴戦など、プロレス史の重要な名勝負や業界の大きなターニングポイントの裏側も明かされています。

単なる暴露本という感じではなく、プロレスとは何か、プロレスラーの心の芯、組織の都合に流されず個として生きる姿勢、海外遠征での苦労や学びなどが深く掘り下げられており、プロレスの世界について、少し知識を深めることが出来た。そんな印象です。 

蝶野は対戦相手を「ライバルであり大切な同志」と位置づけ、「歴史はなるようにしかならない」との思いを込めています。プロレスは基本的に「やったもん勝ち」の世界でありながら、選手の人間性や芯の部分が勝負を形作る。そんな率直な視点が著者の魅力として感じました。

著者を「ガキ使で月亭方正をやつける人」程度の認識しかない人に是非、読んでほしい1冊です。そしてちょいちょい出てくる、橋本キライ節がとてもサイコウ!! そんな一冊でありました。