人口減少社会のデザイン / 広井良典


 日本は人口減少が進み、それに並行して高齢化も一緒に進行しているのは周知の事実です。昔から少子高齢化は問題だと騒がれていたにもかかわらず、なにも進展せず予想通りの展開になってしまった。

 何年も前から言われていますが、政府の対策が効かない、無いに等しいというそんな議論もあるが、はたして政治、行政が悪いから少子高齢化になったのか。一概にそれだけではない。

 1960年代から、若者を関東圏に集める「集団就職」という、そんな政策が遂行された。日本を工業立国にするためそれは必要だったのかも知れないし、実際それは成功し、日本は先進国の仲間入りを出来えた事実は存在する。

 都会で出て成功した先人たちをみた、あとに続くものに対して、お前は故郷に残こりなさいと言える社会でなくなったのは、実際は政策の誤りではなく、政策がうまく行った後遺症とも言っていいだろう。笑

 日本は少子高齢化では世界最高峰の先進国です。しかしそれは、現在の日本がそんな地位にたまたまいるだけで、次に少子高齢化におびえている国はたくさんある。

 今を嘆くべきでは無く、トップランナーだと考えることにより、前向きに考えることが出来る。そんなことを本書に書いてありましたが、似たようなことを書いてある本は結構ある。

 2050年には8000万人程度になると予想される日本の人口。限りある資源、持続可能な社会にするためには「都市集中」と「地方分散」のモデルがあると本書には書かれていた。前述の通り、都市集中にしたのは故意に操作した結果であり、本来の持続可能な原点は地方分散だと私も思う。

 2050年、現在の人口が3分の2になったとき、私がほぼ生きてはいないと思うが、どんな社会になっているのか。現在、都市に流入する若い世代が、今の自分と同年代になっている頃です。

 私も都会には憧れていた時期があった。東京の専門学校から宮古に就職したが、都会を離れるのがとても、名残惜しかったが今となっては、20歳から宮古にいることで今の自分があると思っている。

 SDGsのバッチを付けている人がたくさんいるが、外国人はあのマークも知らず、来日した外国人は、「あれは日本の新興宗教なのか?」そんなことを言う人がいるというくらい、「持続可能性」という、欧州のプレッシャーに負けた市場競争原理の弱者の証です。笑 バッチを付けている人は冷静に考えて欲しい。人口が減ることはSDGsに一番効く。笑

 行政や首長は現状でないパイを求める傾向がある。Uターン・Iターン・誘致企業・地域おこし協力隊など。しかし、現状にあるパイを満足させることが出来なければ、無いパイはやってこない。そんなことを考えさせてくれる本書でありました。

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