家が火事になって父親が死んだ、
母親と二人の息子たちは、
父親の両親と暮らすことになった。
その祖父が営む秋山善吉工務店。
80代の祖父は棟梁で昔ながらの頑固おやじ。
近寄り難い雰囲気を持ち、
はじめはそりが合わないが、
母親と息子二人に訪れる、
苦難をすべて解決していく。
下の息子はイジメ。
上の息子はヤクザ。
母親はパート先のクレーマー。
一見、家庭の問題を解決して行く、
爽快親父の小説かと思いきや、
火事の原因は何だったのか。
なぜ、父親は死ななければならなかったのか。
そんなミステリーに展開していく。
もちろん種明かしはしませんが、
80代の棟梁、秋山善吉。
喧嘩も強ければ、人脈も計り知れない。
言葉は少ないが、一つ一つが重い。
素敵すぎました。
こんな素敵なおじいさんになれたら。
そんなことを思う。笑
下の息子がいじめられている最中の描写でこんなのがあった。
直接手を下しているのは◯◯たちだが、それがイジメの正体ではない。イジメというのはこの空気のことなのだ。自分とは無関係の誰かが理不尽に虐待される。その状況を消極的に楽しみ、自分の鬱憤晴らしにしている。
「イジメは行為ではなくその空気」
とても印象的だったのでメモしておきます。笑
最後、秋山善吉は死ぬのだけれど、
死に様も妙に素敵です。
少し、残念な死に方ではありましたが、
こんな死に様も、納得できるほど、
秋山善吉という爺さんに、
心を奪われた読書となりました。笑
09 th in September / 252 th in 2023