「マウント消費」の経済学 / 勝木健太

 消費トレンドはモノ・コトからマウントへ移行する。「こんな素敵な場所に旅行してきました」「こんな美味しい料理を楽しみました」「こんな特別な人と過ごしています」
 SNSで頻繁に目にするこうした投稿の、その背後には、多くの人が無意識のうちに抱える「マウント欲求」が潜んでおり、令和の日本では、SNSの普及とともにこの欲求が顕在化し、日常のあらゆる場面に深く浸透。一見ネガティブに映るこの現象が、実は日本経済を活性化させる「隠れた切り札」として大きな可能性を秘めているという。

 本書でたびたび登場する「マウンティングエクスペリエンス(MX)」という新たな概念があります。消費者が単なる満足感を得るのではなく、体験を通じて自分は特別な存在と感じられるように設計された体験のことを指すという、著者の造語のようです。

 著者は特別な体験とか存在的な言葉で表現していますが、私の印象は宮古弁で言えば、「どーだぁーや!」と、他人にドヤれることに価値を見出している感じだろうか。

 Appleやテスラを例に上げていますが、どんな高級時計よりAppleWatchを持っている方が、私はこんなのを使いこなしているとドヤるとか、フェラーリなんかよりテスラの方が環境にいいのよ的な、モノではなく、それらを使う自分を高めるため、消費をするといった感じだろうか。

 では自分がなにか「マウント消費」しているものがあるだろうか。すぐ思いつくものがあった。そのマウント消費の名前は、ズバリ「Apple沼」。i-phoneはProMaxとminiを所有しているし、iPad Proも持っている。Mac mini も使っているし、いまこの文章はMacBook Airで書いている。手元をみればApple Watchがついているし、完全にAppleの戦略にハマっています。

 身の回りではなにか、そんなマウント消費はあるのか。最近では備蓄米などがそうではないだろうか。べつに食うコメが無いわけでは無いのに、売っていたら買ってしまう。そんな私はなにかマウント消費をなにか作り出せないのか。そんなことをいろいろと考えましたが、まったく思いつきませんでした。

 なにか、商売の糧になりそうな何かが、少しでも思いついたら、本書で知った「マウンティングエクスペリエンス(MX)」を思い出せたらいいなぁ〜と、いう程度の感想です。(笑)